-日本に相応しいGAP規範の構築とGAP普及のために-

株式会社Citrus 株式会社Citrusの農場経営実践(連載15回)
~第3のみかん出荷形態をレポート~

佐々木茂明 一般社団法人日本生産者GAP 協会理事
元和歌山県農業大学校長(農学博士)
株式会社Citrus 代表取締役

 みかんの進物シーズンに入った昨年12月、カタログ販売の受注に対応している株式会社サンライズみかんの会(有田郡湯浅町吉川1247番地 電話0737-65-0011)を尋ねた。この会社は、筆者の経営する農業生産法人への法人出資者である。2003年に設立され、第3のみかん出荷形態を採っている。その特徴は、一般的な市場流通ではなく、直接小売店と取引をする販売である。みかんの販売価格が低迷しているなか、生産価格は高騰の一途であることから、販売方法の合理化で農家手取りを高めようというポリシーで運営されている。


図1 サンライズみかんの会の販売経路

 生産者が直接みかんを販売する経路には、

  1. JAが関与する13ある共選場への出荷、
  2. 商系と呼ばれる柑橘商業販売組合に属する9社ある商売人への販売、
  3. 農家が出荷組合を組織しての市場への出荷、
  4. そして
  5. 屋号を銘柄とする個人出荷の4種類がある。

  しかし、サンライズみかんの会の販売方法は、産地おける市場内仲卸的な販売形式を採り、スーパーや果物店へ、そのままディスプレイできる包装形態での受注を受けて、包装して出荷したり、また、ネット販売やカタログ販売に対応したりして、その個々の商品形態毎に生産者に清算金を支払っている。そのため、出荷のタイミングと品質が伴えば、有利に取り扱ってもらえるということで、生産者は喜んでいる。

  一方で、20戸余りの個人出荷している専業農家と一緒になり、連携した産地直送グループを構成し、 大手のカタログ販売会社と提携して、有田みかんの産地直送システムを実現している。


図2 スーパーからの受注による袋詰め

  この会社の組織構成は、出荷している一般的な会員農家数は百数十戸あり、生産量100トン規模の農家から20kgコンテナで数杯の小規模出荷をしてくる農家まである。その出荷理由は、(1)決まりが厳しい農協等の選果場に対応できないとか、(2)個人販売するには規模が小さく販売力をもっていないとか、(3)共選が扱わない品目や品種を栽培しているなどという農家から持ち込まれる。著者の経営する会社のみかんは100%ここに出荷し、この会社の生産部門を担う大口農家として存在している。


図3 カタログ販売の発送準備

  先に述べた第3の出荷形態とは、個人ではロット対応が出来ないために相手にしてもらえない大手スーパーとの取引を、産地にいながら実現し、今までの組織や個人による販売方法では不可能だった取引の支援機関的な働きをしていると言える。この販売方法により、小規模でもみかん園を放棄することなく栽培を継続していける農家が多数いることも事実である。私たちにとっては誠に有難い組織である。


図4 スーパーの進物用パッケージ

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