-日本に相応しいGAP規範の構築とGAP普及のために-

GAP用語集

解説

GAPに関連する用語の解説です。
※各用語末に出版書籍の索引データを記載しています。用語末には、引用元の以下の数字を掲載しています。
適正農業規範『GAP導入』(ページ数)、『GH農場評価ガイドブック』(ページ数)、『日本GAP規範 Ver. 1.1』(項目番号)、『日本GAP規範 第2版』(項目番号)


GAP用語の定義(Definition of GAP-related terms):

GAPに関連する用語は、以下のように定義される。

GAPの用語 英語の表現 概 念 説 明 内 容
GAP規範 (適正農業規範) Code of Good Agricultural Practice, Co-GAP 適正農業管理の思想やその根拠 科学や法令等による適切な農業生産の在り方の基本的な考え方と適切な行為
GAP規準 (適正農業規準)Control Point & Compliance Criteria of GAP 適正農業管理の尺度適切な農業生産で求められる諸条件をまとめた生産者評価の物差し(審査基準体系)
GAP (適正農業管理) Good Agricultural Practice 適正農業管理の行為農業生産で行われる適切な行為とその継続的な実践

 Practiceは、狭義には「実践」や「行為」そのものを意味するが、個々の実践や行為が規範から逸脱しないように実践するために調査し、計画し、教育するなどの統制も含めて「管理」と表現する。GAP(適正農業管理)を実践するに当たっては、その他に「農場管理システム」、「農場管理規則」、「農場の内部監査」や「外部審査」への対応、「適正農業実施手順書(GAP手順書)」などが必要になる。  『日本GAP規範 Ver. 1.1』 はじめに1-7, 1501, 1502, 1601, 1602, 3104F, 8101F, 2014/5/30) (『日本GAP規範 第2版』 0101, 0203, 2021/9/15)

適正農業規範(Code of Good Agricultural Practice):

 適正農業管理を行う上での理念やその根拠となるものを記述したもので、科学・技術や法令等による適切な農業生産の在り方の基本的な考え方と適切な行為を示すものである。
 適正農業規範(GAP規範)は、ドイツ、イングランドなどの欧州各国・各地域において環境保全型農業等の農業生産の「あるべき姿の実践」のために規定し、農業生産者によるGAP規範の遵守を定着させ、「GAP規範は農業生産者の守るべき最低限のルール」になっている。このような欧州のGAP(適正農業管理)に学び、その思想を日本の地勢や気候風土などと、そこから生まれた法律・規則、慣行、日本的心情倫理などに合うように取り込み、崩壊しつつある倫理観を回復するための指針とし、結果に責任を負う責任倫理としての日本の『適正農業規範』を作ることが重要になっている。  適正農業規範『GAP導入』 p. 15, p. 24, p. 50, p. 93, p. 227 , 2009/1/30)(『日本GAP規範 Ver. 1.1』 はじめに1-7, 1501, 1502, 1602, 3104F, 2014/5/30)(『日本GAP規範 第2版』 0201表, 0203, 0303, 0304, 0401, 1101, 4403, 10204表, 2021/9/15)

適正農業規準(Regulation & Compliance Criteria of Co-GAP):

 適正農業管理の認証システム全体のことを言い、適切な農業生産で求められる諸条件をまとめた生産者(農場)評価の物差し(審査基準体系)のことである。  適正農業規範『GAP導入』 p. 15, p. 227 , 2009/1/30)(『日本GAP規範 Ver. 1.1』 はじめに7表1, 2014/5/30)(『日本GAP規範 第2版』 0402, 2021/9/15)

適正農業管理(Good Agricultural Practice):

 適正な農業の行為そのものを言い、農業生産で行われる適切な行為とその継続的な実践のことである。一般的にGAPといわれているものは、この適正農業管理のことを言う。  適正農業規範『GAP導入』 p. 14, p. 32, p. 44, p. 71, p. 77, p. 157, p. 227 , 2009/1/30)(『日本GAP規範 Ver. 1.1』 はじめに2, はじめに4, はじめに7表1, 3104F, 8101F, 2014/5/30)(『日本GAP規範 第2版』 0101, 0102, 0202, 0203, 0301, 0304, 0402, 0403, 0501, 2101, 4105表, 10101, 10301, 6201表, 2021/9/15)

農場管理規則(GAP実施手順書):

 農場管理システムを利用現場に即してマニュアル化したものである。GAP の実践のためのガイドラインや行動指針、標語などの形で作成し、日常の業務管理で活用する。GAP の実施の指針や、GAP トレーニング用のツールとして用いる。  適正農業規範『GAP導入』 p. 17, p. 59, p. 60, p. 65, p. 91, p. 118, p. 126, p. 130, p. 137, p. 141, p. 145, p. 158, p. 159, p. 162, p. 228 , 2009/1/30)

環境配慮要件(Cross Compliance)クロス・コンプライアンス:

 EU諸国で行われている農業の単一支払制度において、農業生産者が補助金を受けるために、生産者自身が自分の農地を良い農業条件や優れた環境条件に保ち、周辺住民や家畜および作物の健康や、環境保護、動物福祉に関連する規制を尊重しなければならない要件を「クロス・コンプライアンス」というが、このクロス・コンプライアンスを日本語として判りやすく「環境配慮要件」と訳したものである。  『日本GAP規範 Ver. 1.1』 はじめに4 , 2014/5/30)(『日本GAP規範 第2版』 0403, 0102, 0203, 0205, 0303, 2021/9/15)

環境直接支払い(Direct subsidy payment for environmental friendly):

 環境に配慮しながら農業生産活動を行う農家に対して所得を直接補償する制度。農業生産を調整し価格を維持することで所得を確保する減反政策とは異なり、農業生産と切り離して実施される所得補償のため、デカップリング政策ともいわれる。日本では、生産条件が不利な中山間地や湖沼等の環境を維持しながら行われる生産活動を守る目的で導入されているが、国から農家への直接支払いは行われていない。  『日本GAP規範 Ver. 1.1』 はじめに3,はじめに4 , 2014/5/30)(『日本GAP規範 第2版』 0205, 2021/9/15)

環境保全型農業(Environmental friendly agriculture):

 日本では、「農業の持つ物質循環機能を生かし、生産性との調和に留意しつつ、土づくり等を通じて、化学肥料、農薬の使用等による環境負荷の軽減に配慮した持続的な農業」(平成6年4月農林水産省環境保全型農業推進本部)と定義されている。日本で実際に行われているものとして、地域の慣行農業に比べて化学肥料や化学農薬の使用量を減らしたり、堆肥による土づくりを行うなどの農業がある。
 欧州では、GAPレベルの「慣行農業」と「有機農業」との中間に位置する農業全体を指しており、フランスで提唱された「合理農業」(AR:Agriculture Raisonnee)や、スイスで提唱された「統合生産」(IP:Integrated Production)などがそれにあたる。合理農業は「農業生産の全過程において環境、食品、農業労働者の健全と安全およびアニマルウェルフェアに配慮した生産技術と生産方法を用い、環境を重視した持続的な農業」と定義され、また統合生産は「経済的な目的と消費者の要求に対応し,かつ環境に配慮する農業」と定義され、現在、IP農業は、欧州各地に普及されつつある。  『日本GAP規範 Ver. 1.1』 はじめに3, はじめに4, はじめに6, 5304, 8101F, 2014/5/30)(『日本GAP規範 第2版』 0201表, 0202, 0203, 0204, 0205, 0304, 0401, 0403, 5303, 10101, 2021/9/15)

農場管理システム:

 生産者がGAP 規準を守るための農場管理体系と管理運営の仕組みのことである。Quality Management System の訳であり、Quality とは、農産物の品質ではなく、農場管理の質を問うものである。GAP の実践は、生産部会や農場の適正農業管理のことであるから、生産部会や農場の管理システムとして、その「組織」や「活動方針」および「管理規定」や「実施基準」などが体系化されていることが必要である。生産者は、この農場管理システムに従って行動すればGAP の実践が可能になる。農場管理システムは、狭義には「工程管理」の意味であり、業務のプロセスを文書化し、適正に実施するための各種規準の体系、つまり経営のための仕組みのことである。  適正農業規範『GAP導入』 p16, 27, 60, 86, 92, 115, 121, 130, 137, 138, 142, 185, 227, 2009/1/30)

農場内部監査:

 農場での適正な管理、つまりGAP が行われているかどうかを確認するために行う監査である。「生産者は皆良くやっています」では駄目であり、生産者自身や生産部会などの組織の内部で、農場管理の適正度を自主的に内部監査することが必要である。GAP 認証制度では、第三者によるGAP 審査が行われる。  適正農業規範『GAP導入』 p228, 2009/1/30)

P・D・C・A(PDCAサイクル):

 経営管理のプロセスを、Plan(計画)、Do(実行)、Check(点検)、Action(改良)の4 つに分けて実施するものであり、継続的に業務を改善する手法である。品質管理の手法として開発されたが、企業の事業活動の中で頻繁に実施されている。重要なのは、Check やAction の成果を次のPlan に具体的に反映させることである。  適正農業規範『GAP導入』 p17, 65, 86, 124, 135, 228, 2009/1/30)

経営管理サイクル:

 PDCA のことであり、GAP の実践では、目指すべき農業の方向を明らかにし、それを実現するための農場管理規則を作り、規則に従って研鑽してGAP を実施し、この実施に漏れが無いかどうかを監査し、より高いレベルの農場管理システムを目指す手法である。  適正農業規範『GAP導入』 p17, 65, 124, 228 , 2009/1/30)

JGAP:

 Japan Good Agricultural Practice の頭文字で、EUREPGAP 規準をモデルに農業情報コンサルティング㈱(現㈱AGIC)が2004 年に開発した日本版GAP 規準のこと。JGAP 青果物第2.1 版は、EUREPGAP FVv2-1 と同等性が認められた。日本の気候・風土や法律・社会環境などを考慮した日本版のGAP 規準としてNPO 法人日本GAP 協会が認証制度を運営している。  適正農業規範『GAP導入』 p26, 117, 229, 2009/1/30)

GMP:

 Good Manufacturing Practice の頭文字で、日本では適正製造規範と訳される。1960 年代からアメリカで採用された医薬品・食品等を製造するための製造時の管理規則であり、日本では薬事法に取り入れられたが、食品に関しては法律に基づいたGMP の規定はない。イギリスの小売業界が連合して設立した独立検査機関(B.R.C.:British Retail Consortium)は、食品の品質および食品製造過程の衛生状況等を審査する検査・認証機関で、BRC の認証はHACCP の理論とISO の理論を組み合わせた衛生・品質・顧客満足度を計るGMP として評価が高く、世界的に普及している。  適正農業規範『GAP導入』 p25, 229 , 2009/1/30)

GDP:

 Good Distribution Practice の頭文字で、日本では適正流通規範と訳される。フード・サプライチェーンを構成する輸配送部門が、GAP、GMPの安全規範を繋ぐ規則として守るべき規範である。日本では、2006 年に流通JAS が法制化されたが、商品の個別認証であり、GDP のようなシステム認証にはなっていない。  適正農業規範『GAP導入』 p26, 229 , 2009/1/30)

GRP:

 農産物流通の各段階で適切な管理を行うことにより食品のトータルの安全性が確保されるが、取扱いの各段階で実施すべき適正規範をGXP(X には農業A、製造M、流通D、小売R が入る)と表現することがあり、この場合にGRP は、小売業者(Retailer)の適性規範を指している。  適正農業規範『GAP導入』 p229 , 2009/1/30)

運営認証の一般規則:

 GAP 規準と審査に関する規則(GR:General Regulation)のことで、GAP 認証制度の目的、運営方法、生産者(農場)の評価手順、評価の仕方とその結果の妥当性などについて記述するとともに、それぞれの手続きや関係者の資格要件、さまざまな契約ごとなどについて詳細に書かれている規則。  適正農業規範『GAP導入』 p230 , 2009/1/30)

管理点と適合基準(CP・CC):

 CP はControl Points の訳で、適切な農場管理の視点から、農産物の安全性、環境への配慮、作業者の安全と福祉などについて管理すべきポイントをいう。CC は、Compliance Criteria の訳で、GAP では管理点ごとに目指すべき農場管理の客観的な判断基準を示したものである。審査官が農場の管理実態を判定するための基準であり、チェックリストの形式になっている。  適正農業規範『GAP導入』 p230 , 2009/1/30)

必須項目:

 法令の遵守や農産物の安全性などに欠かすことのできない管理点であり、GLOBALGAP 規準やJGAP 規準のCP・CC のうちの絶対的規準であり、100%適合していることが認証の条件である。  適正農業規範『GAP導入』 p230 , 2009/1/30)

重要項目:

 農産物の安全性、環境への配慮、作業者の安全と福祉などの確保に密接に関係する項目で、GLOBALGAP 規準やJGAP 規準では、適合することが強く求められる管理点のことである。重要項目の95%以上が適合していることが認証の条件である。  適正農業規範『GAP導入』 p230 , 2009/1/30)

努力項目:

 GAP 認証の審査結果には影響しないが、適切な農場管理のために積極的に取り組むことが望まれる管理点のことである。  適正農業規範『GAP導入』 p230 , 2009/1/30)

農場自己評価:

 生産者がGAP 規準や農場管理規則に照し合せて、自らの農場の実状や管理の実態についての問題点を洗い出すことであり、英語ではSelfAssessment と言う。  適正農業規範『GAP導入』 p230 , 2009/1/30)

内部農場検査:

 生産部会などの組織内部、つまり組織を構成する生産者(農場)について、GAP の適否に関して組織の事務局などが実施する内部監査のことであり、英語でInternal Producer Inspection と言う。  適正農業規範『GAP導入』 p231 , 2009/1/30)

自己審査:

 GAP の外部審査に当たって、管理点と適合基準(CP・CC)を基に生産者(農場)が農場の自己評価を行うことと、生産部会などの団体が、組織のメンバーである生産者(農場)の内部農場検査を行うことをいう。GLOBALGAP やJGAP の認証では、1年に1 回以上実施することを義務づけている。  適正農業規範『GAP導入』 p168, 231 , 2009/1/30)

外部審査:

 GAP 規準の審査のうち、自己審査(農場自己検査と内部農場検査)以外の審査のことで、農産物の取引先が実施する二者認証と、取引きに関係の無い審査機関が行う三者認証とがある。  適正農業規範『GAP導入』 p231 , 2009/1/30)

認証:

 農場の管理が農場管理規則に従い、GAP 規準のCP・CC を満たしていることを認証機関が証明することをいう。GLOBALGAP 規準やJGAP 規準の認証に合格するには、必須項目の100%、かつ重要項目の95%以上が適合している必要がある。  適正農業規範『GAP導入』 p231 , 2009/1/30)

認定機関(AB):

 Accreditation Body の訳で、第三者としてISO などのマネジメントシステムの審査登録や製品認証を行う認証機関(CB)に対して、審査を行うに足るだけの能力があるかを見極めて認定を行う組織であり、中立性を保った非営利団体である。認定機関の間の技術的レベルの整合や相互承認協定の締結などを行う国際認定機関フォーラムであるIAF(International Accreditation Forum)に加盟している1国に1つの機関である。  適正農業規範『GAP導入』 p69, 231 , 2009/1/30)

認証機関(CB):

 Certification Body の訳であり、認証機関(CB)は、認定機関(AB)によって認定され、ISO やGAP などを実施する企業や団体などを審査して、認証を発行する組織である。世界的に営利団体が経済行為として行っている。製品のグローバル化に伴い、試験結果や校正結果を相互に認め合うために、その運営基準としてISO(国際標準化機構)およびIEC(国際電機標準会議)でガイドラインが定められている。  適正農業規範『GAP導入』 p69, 232 , 2009/1/30)

GAP認証制度:

 生産現場がGAP 規準に従って適正に農業管理を実施していることを、第三者である認証期間(CB)が検査・評価して認証する制度である。生産者のGAP 普及を推進し、農産物の安全性について買い手側の信頼を高めるための有効な仕組みとして、GLOBALGAP では商取引きに効果的に利用している。他に行政が主導するGAP 認証制度もある。  適正農業規範『GAP導入』 p31, 32, 61, 232 , 2009/1/30)

国際標準化機構(ISO):

 工業分野の規格を国際的に標準化する民間の非政府組織で、ISO(アイソ、アイエスオー、イソなどと読む:International Organization forStandardization)ともいう。ここで定められた基準は、製品の品質や、工場および審査機関、検査機関などの管理について一定の信頼性を証明するために使われる。本部はスイスのジュネーブにある。  適正農業規範『GAP導入』 p. 187, p. 232 , 2009/1/30)

ISO-17025:

 試験所・校正機関が正確な測定/校正結果を生み出す能力があるかどうかを、権威ある第三者認定機関が認定する規格である。ISO/IEC17025は"試験所認定"と呼ばれ、製品検査や分析・測定などを行う試験所および計測機器の校正業務を行う校正機関に対する要求事項が定められている。  適正農業規範『GAP導入』 p. 232 , 2009/1/30) (『GH農場評価ガイドブック』p. 34, p. 39, p. 131 ,2017/8/25)

ISO-22000:

 「食品安全マネジメントシステムの要求事項」に係るISO 規格であり、「非食料品およびサービスの供給者を含む全ての食品サプライチェーン」を認証の範囲としている。その要求事項は、HACCP(HazardAnalysis and Critical Control Points)、ISO-9001(食品安全に関するQuality Management System の要素に係る要求事項)、GAP (GoodAgricultural Practices)、GMP (Good Manufacturing Practices)、GDP(Good Distribution Practices)、GHP (Good Hygiene Practices)のそれぞれに及ぶものである。  適正農業規範『GAP導入』 p. 29, p. 233 , 2009/1/30)

厚生労働省登録機関:

 食品衛生法に基づき厚生労働省に登録された検査機関である。登録等に関して一定の基準が定められており、一般的にその機関による検査結果は公的なものとして取り扱われる。  適正農業規範『GAP導入』 p. 232 , 2009/1/30)

HACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point):

 日本語では「危害分析重要管理点」という。主に加工食品の安全性を確保するための管理システムであるが、2020年6月に食品衛生法が改正され、新たに制度化され、呼称はハサップに統一された。原料の調達から最終製品までの各段階で消費者に健康被害をもたらすことが予想される危害を特定してその要因を分析(HA =危害分析)し、その中で特に重要な危害要因を制御するポイント(CCP =重要管理点)について管理する手法である。一般の農業では、危害要因が極めて多様であることと、特に生食用の青果物等の場合には加熱工程がないので、危害要因を完全に取り除くことが難しく、殺菌剤の使用や洗浄工程、pH調整などが重要とされる。  適正農業規範『GAP導入』 p. 29, p. 48, p. 58, 233 , 2009/1/30)(『日本GAP規範 Ver. 1.1』 8101F , 2014/5/30)(『日本GAP規範 第2版』 0201表, 0204, 1510, 6702, 10301 ,2021/9/15)

農場認証(Farm Assurance):

 量販店などが、自分達の販売する農産物に対して付加価値をつけるため、「食の安全・安心」や「環境」に配慮した取組みを行っている農場を、販売者が定める規準に従って行う認証のことを言う。GLOBALGAP(旧EUREPGAP)やTesco Nature's Choiceなどが、農場認証の事例として良く知られている。 他に、生産者と消費者の信頼の橋渡しとしての農場認証がある。国内農産物の生産段階の環境保全と一次加工段階までの食品安全を検査認証して品質適合商品としてラベル表示する認証制度で、イギリスの「レッドトラクター」(Red Tractor)などが良く知られている。  『日本GAP規範 Ver. 1.1』 はじめに5 , 2014/5/30)

GH農場評価制度:

 通称「グリーンハーベスター農場評価制度(略称:GH農場評価制度)」は、GAP的にコントロール(統制・調整)された健全な農業であることを農業者自らが確認するための制度であり、農業者や生産組織などの農業経営体が『日本GAP規範』の内容をどの程度達成しているかを、「GH農場評価規準」に基づいて専門のGH評価員が客観的に評価し、農場管理や生産技術などの改善指針を提供する。GH農場評価を受けた農業経営体は、「農場評価報告書」に示された評価結果に基づいて、環境と人および農産物と家畜などに関するリスク低減の改善計画を実践することになる。  GAP普及ニュース 67号 , 2021/10)


リスク(Risk):

 農業環境や農業行為等に存在する危害要因(ハザード)が、環境・人・農産物(食品)に与える「悪い影響の大きさ」と「危害の発生する確率」の積で表わされる。農業における危害要因は非常に多く、環境に対しては肥料や農薬等、人に対しては農業機械や農薬、農産物に対しては食品汚染の原因になる中毒細菌や農薬、重金属などがある。このようなリスクを軽減したり、解消したりするための様々な取組みがGAPの実践である。  適正農業規範『GAP導入』 p. 78, p. 124, p. 190, p. 233 , 2009/1/30)(『日本GAP規範 Ver. 1.1』 はじめに1, 1101, 1101F, 1104, 1105, 1201, 1302-1304, 1501 図1-1, 2102, 2104, 4101, 4102, 4402, 4501, 4508, 4701, 5101, 5106, 5107, 5201, 5202, 5403, 5404, 5501, 5501F, 6304, 6305, 6504, 8101, 8101F, 8201, 2014/5/30)(『日本GAP規範 第2版』 ●● , 2021/9/15)(『GH農場評価ガイドブック』 ●● , 2017/8/25)

リスク管理(Risk management):

 リスク評価の結果を踏まえて、全ての関係者と協議しながら、リスク低減のための方策について技術的な可能性や費用対便益などを検討し、適切な方策を決定し、実施することを言う。農業現場においては、リスクが許容されるレベルを上回った場合に、そのリスクを軽減し回避するための方策について検討し、リスクの「調和作業」などを行うことを総称して言う。リスク管理は、このようなリスク評価やリスクの「調和作業」などを行うことによって環境・人・農産物(食品)の安全な状態を実現する一連のプロセスのことを言う。  『日本GAP規範 Ver. 1.1』 1101, 1302, 3102, 4701, 2014/5/30)(『日本GAP規範 第2版』 1101, 1102, 1104, 1303, 1304, 4102, 10204, 10302 ,2021/9/15)(『GH農場評価ガイドブック』 p. 13, p. 17, p. 20 , 2017/8/25)

リスク検討(Risk examination):

 GAP(適正農業管理)におけるリスク検討は、農場に存在するリスク要因について特定し、どの程度のリスクとなるかリスク評価を行い、リスク評価の結果を踏まえて、すべての関係者と協議しながら、リスク低減のための方策について技術的な可能性や費用対便益などを検討すること。  適正農業規範『GAP導入』 p. 66, p. 86, p. 90, p. 106, p. 138, p. 150, p. 176, p. 184, p. 190, p. 233, 2009/1/30)(『日本GAP規範 Ver. 1.1』 1104, 1501, 4701, 2014/5/30)(『日本GAP規範 第2版』 1106, 1601)

リスクコミュニケーション(Risk communication):

 リスク管理の全過程において関係する全ての人の間で、リスク評価の結果やそれによる決定事項などをお互いに情報や意見を交換することを言う。GAP(適正農業管理)では、GAP規範、GAP規準とその実践ガイドなどをもとに、農業現場で行われる「目揃え」やそれによる「調和作業」なども非常に重要な活動である。  『日本GAP規範 Ver. 1.1』 1102, 1104, 1105, 2014/5/30)

リスク認識(Risk awareness):

 農業現場において環境・人・農産物(食品)に対する「リスクがあるかどうか」、「リスクが許容できる範囲か否か」などを判断するために必要な「知識や判断能力」のことを言う。これには、農業由来の環境汚染についての基本的な知識や、食品安全および労働安全などについての知識や情報を持っていることが必要である。農業現場においては、先ず「リスクに気付くこと」が重要であり、ときにはリスク評価の推論過程を経ない直観的な判断も必要である。  適正農業規範『GAP導入』 p. 36, p. 42, p. 90, p. 96, p. 140, p. 150, p. 176, p. 234, 2009/1/30)(『日本GAP規範 Ver. 1.1』 1101, 8101, 8101F, 8201, 2014/5/30)(『日本GAP規範 第2版』 1102, 10102, 10103, 10202, 10204, 10301表 ,2021/9/15)(『GH農場評価ガイドブック』 p. 17, p. 109 , 2017/8/25)

調和作業(Risk harmonization):

 GAP(適正農業管理)では、GAP規範と、それに基づくGAP規準やGAP実践ガイドなどにより農業現場におけるリスク評価を行うが、複数の評価者間での齟齬を調整する「目揃え会」や、その評価結果に基づいてリスクをなくすための対策会議を行うことが多い。このような具体的なリスク対策の工夫や軽減措置の会議や活動を「調和作業」と言う。  『日本GAP規範 Ver. 1.1』 1102, 2014/5/30)

リスク評価(Risk acessment):

 農業現場における環境・人・農産物(食品)に対するリスクの大きさ(危害要因の影響の大きさ×発生の確率)を評価し、リスク評価の結果に基づいて、そのリスクが許容できるか否かを判断するプロセスのことを言う。なお、適正なリスク評価を行うためには、適正なリスク認識をもつことが必要である。  『日本GAP規範 Ver. 1.1』 1101, 1302, 4101, 4102, 6305, 8101F, 8102, 8201, 8101F, 9101, 2014/5/30)(『GH農場評価ガイドブック』 p. 17, p. 20, p. 29, pp. 33-34, p. 39, p. 55, p. 109, p. 133, p. 137, pp. 153-165, p. 177 , 2017/8/25)

リスク分析(Risk analysis):

 コーデックスでは、「リスク分析は、リスクの発生を予防し、そのリスクを最小にするための枠組みをいい、リスク評価、リスク管理およびリスクコミュニケーションの3つの要素からなる」とされている。農業分野においては、危害要因が多様で発生確率も予測の難しいものが多いので、先ず農業現場でのリスク認識を高めることにより農業におけるリスク評価を的確に行うようにする必要がある。  『日本GAP規範 Ver. 1.1』 1101 , 2014/5/30)

リスクマップ(Risk map):

 環境リスクの受けやすさを指標に、農場内の圃場をリスクレベル毎に区分したものをリスクマップと言う。特に肥料・農薬等の散布は、このリスクマップを参考に、充分注意を払って行う必要がある。  『日本GAP規範 Ver. 1.1』 1501 図 1-1, 1503 , 2014/5/30)(『GH農場評価ガイドブック』 pp. 17-18 , 2017/8/25)

衛生リスク:

 農業生産における食品衛生上のリスクと労働安全上のリスクのことである。食品衛生上のリスクでは、病原菌、化学物質、異物混入などを対象として管理することが必要である。労働安全上のリスクでは、作業者の疾病や作業事故などによる死亡や負傷の危険性を排除することなどが管理の対象となる。  適正農業規範『GAP導入』 p. 107, p. 191, p. 234 , 2009/1/30)

衛生管理の3原則:

 危害要因となる化学物質、病原菌、異物混入などの「危害要因を生産現場に持ち込まない」こと、衛生的に環境を整備し「病原菌を増殖させない」こと、「危害要因を取り除く」こと、取り除けない場合は、農産物を廃棄することが、衛生管理の3原則である。  適正農業規範『GAP導入』 p. 220, p. 234 , 2009/1/30)

労働リスク:

 労働安全にかかわるリスクのこと。農作業中の危険を防止するために、労働リスクを分析しておく必要がある。  適正農業規範『GAP導入』 p. 234 , 2009/1/30)

ハインリッヒの法則(1:29:300 の法則):

 1件の重大事故の背景には29 件の軽傷の事故と、300 件の「ヒヤリ」、「ハッ」とする体験があるという労災事故に関する法則のことで、1930年代にアメリカの技師ハインリッヒが発表した法則である。産業界や医療などの世界にも広く通じる考え方として広まっている。  適正農業規範『GAP導入』 p. 105, p. 234 , 2009/1/30)

ヒヤリ・ハットの法則:

 ハインリッヒの法則(1:29:300 の法則)の別称である。  適正農業規範『GAP導入』 p. 235 , 2009/1/30)

リスク要因(危害要因/Hazard):

 健全な環境の保全、農産物・食品の安全、人の健康・安全などに悪影響(危害)を及ぼす可能性のある諸要因を言い、外来語でハザードとも言う。農業における危害要因には、農薬、肥料や様々な農業資材、農業機械、有害な微生物や重金属、天然の毒素などがあり、化学的要因、物理的要因、生物的要因などに分類される。  適正農業規範『GAP導入』 p. 78, p. 235 , 2009/1/30)(『日本GAP規範 Ver. 1.1』 1101, 1101F, 1102, 1103, 1103表1-1, 1104, 1201, 1302, 1501, 8101F, 8102表8-1, 8102, 8201, 8202, 8302, 9201, 9201表9-1, 2014/5/30) (『日本GAP規範 第2版』 1101, 1102, 1103, 1105, 1106, 1201, 1206表, 1302, 1303表, 1304表, 1401, 1601, 8101, 10201表, 10202, 10203, 10204, 10302, 10401, 11201, 10301表, 2021/9/15)(『GH農場評価ガイドブック』 p. 17, p. 39, p. 109, pp. 155-157 , 2017/8/25)

生物的危害要因:

 感染性細菌、病原性ウィルス、動物性毒素、かび毒や植物毒素などの混入による生物的ハザードをいう。  適正農業規範『GAP導入』 p. 235 , 2009/1/30)

化学的危害要因:

 殺虫剤・殺菌剤や除草剤、重金属、環境汚染物質などの混入による化学的ハザードをいう。  適正農業規範『GAP導入』 p. 235 , 2009/1/30)

物理的危害要因:

 ガラス片や金属片、プラスチック片、石、砂、昆虫などの混入による物理的ハザードをいう。  適正農業規範『GAP導入』 p. 235 , 2009/1/30)

危害分析:

 圃場、灌漑水、種子、肥料・農薬その他全ての農業資材、農業関連設備、農作業や農産物の集出荷の行程などに係る潜在的な危害要因について、危害の起こり易さや起こった場合の危害の程度等を含めて明らかにし、さらに各々の危害要因に対する制御方法を検討し明らかにすることをいう。広義でリスク検討ということもある。  適正農業規範『GAP導入』 p. 59, p. 235 , 2009/1/30)

クライシス・マネジメント(危機管理):

 クライシス・マネジメント(危機管理)は、企業存続の可能性を脅かすようなリスクの管理のことで、発生の可能性は低いが発生した場合の影響が大きく、対応の緊急性が求められるリスクを対象とした企業のマネジメントの一部である。危機管理の対象には、地域ブランドの農産物から基準値を超える残留農薬が検出された場合などが考えられる。危機管理の要点は通常のリスク管理と変わらないが、危機が発生したら直ちに適用できる緊急時対策(被害の最小化、拡大の防止対策など)とそれに続く復旧対策を明確にしておくことが非常に重要となる。対策は、日頃訓練等を行い、組織の構成員に浸透させることが必要である。  適正農業規範『GAP導入』 p13, 36 , 2009/1/30)

是正:

 自己審査や外部審査で、不適合であった管理点および事柄を、GAP規準ならびに農場管理規則の条件を満たすよう改善すること。  適正農業規範『GAP導入』 p68, 168, 236 , 2009/1/30)

不適合:

 自己審査や外部審査で、農場の管理状態や作業の仕方について、GAP規準の管理点と適合基準(CP・CC)を満たしていない管理点、または農場管理規則に従っていないこと。  適正農業規範『GAP導入』 p65, 86, 236 , 2009/1/30)

安全:

 野菜から残留農薬が検出されても、最大残留限界MRL(MaximumResidue Limit)を超えていなければ、健康リスクは低いということになり、安全性はクリアーされる。科学的な根拠により安全性が評価された食品は、その範囲で「安全」と言える。  適正農業規範『GAP導入』 p31, 236 , 2009/1/30)

安心:

 科学的な根拠により安全性が評価されても、安心できない人は多い。安心とは、心理的要因から不安に思うことがない状態であり、安心は客観的な評価ができないものである。検出された残留農薬がMRL を下回っていても、人によって感受性は異なり、必ずしも安心できるとは限らないし、それを心配する人達もいる。また反対に、残留基準値を超えていて健康に悪影響があると思われる場合でも、その事実を知らないために安心していることもありうる。  適正農業規範『GAP導入』 p31, 236 , 2009/1/30)

安全・安心:

 「安全・安心」と、熟語のように表現されることが多いが、安全と安心は全く異なる概念である。大きく分けて「安全が確保されて安心する」ときと「安全が確保されておらず安心できない」ときがある。一般には、「安全性が確保された結果として安心できること」と解釈すると適切な場合が多い。  適正農業規範『GAP導入』 p33, 237 , 2009/1/30)

農産物の安全性:

 農産物について、病原微生物や寄生虫の付着などの生物的危害、基準値を超える農薬残留や重金属などの化学的危害、異物混入などの物理的危害などが存在しているかどうかの問題をいう。GAP では、農産物の安全性に関する管理規準を遵守することによって安全な農産物を実現することを目指している。  適正農業規範『GAP導入』 p237 , 2009/1/30)

面汚染源(拡散汚染源:Diffuce pollution):

 農地に施用された肥料や植物体に散布された化学農薬、小規模な畜産農家の糞尿などが地域全体の汚染の原因物質となる場合は、汚染源が広範囲に亘るため、「面汚染源」あるいは「拡散汚染源」と言われている。面汚染源の環境汚染の対策は、汚染源を特定しにくいため、対象地域内の小規模な農家も含め、全ての農家による取組みが必要となる。  『日本GAP規範 Ver. 1.1』 1203, 1204, 3103, 3104F, 4401 , 2014/5/30)

点汚染源(特定汚染源:Point source pollution):

 環境を汚染する原因物質が、大規模畜産農家の糞尿貯蔵施設、肥料・農薬の貯蔵施設、燃油タンクなどの特定の施設から漏れたり、流れ出たりする場合は、「点汚染源」あるいは「特定汚染源」と言い、汚染源を特定して対処することができる。  『日本GAP規範 Ver. 1.1』 1202, 1204, 3103, 3104F6501, 2014/5/30)(『日本GAP規範 第2版』 1202, 4103, 4105表, 7501, 2021/9/15)

BOD(Biochemical Oxygen Demand):

 水中の有機物量を酸化分解したときに消費される酸素量を示し、BOD(生物化学的酸素要求量)は水中の微生物による消費酸素量を示し、過マンガン酸カリの化学反応による消費酸素量を表すCOD(化学的酸素要求量)とともに用いられる。いずれも数値が大きいほど水中の有機物濃度が高いことを示す。  『日本GAP規範 Ver. 1.1』 3403, 6601F, 6607, 2014/5/30)(『日本GAP規範 第2版』 4403, 7601表, 7608, 2021/9/15)

地下水汚染(Groundwater Pollution):

 河川水や降雨・潅漑による水が地下に浸透し、岩石層に滞水している水が地下水であり、これらの水が井戸や掘削孔の水、湿地帯等の水を支えており、その場所は滞水層とも呼ばれている。飲料水や工業用水として利用されるが、河川と比べ、非常にゆっくりとした流れであるため、一旦汚染されると回復に長い時間と多額の費用がかかるため、汚染させないことが重要となる。環境面では、肥料や家畜糞尿由来の高い硝酸塩濃度が問題となっている。  『日本GAP規範 Ver. 1.1』 はじめに3, はじめに6, 1103, 1103表1-1, 1201F, 1204, 1205, 1501, 2102, 2202, 2302, 2303, 2304図2-2, 2401F, 2702, 3102, 3103, 3104F, 3201, 3303, 4203, 4304, 4506, 4601, 5102, 5403, 6305, 6506, 7301 , 2014/5/30)

窒素の形態変化(Chemical changes in nitrogen derivatives):

 有機物に含まれる窒素化合物は、一般に微生物による分解によってアンモニア態窒素や硝酸態窒素といった無機態の窒素に変化する。土壌中の無機態の窒素は、周りの土壌水分や酸化還元の程度により、活動する微生物種が異なり、アンモニア態から亜硝酸態、硝酸態と変化し、条件によっては亜酸化窒素や窒素ガスに変化し、大気中へ揮散することになる。  『日本GAP規範 Ver. 1.1』 2301F , 2014/5/30)(『日本GAP規範 第2版』 3301, 3302表, 2021/9/15)


多面的機能(農業の)(Multifunctional characteristics of agriculture):

 農業は、人が生きていくために必要な食料を生産するだけでなく、作物を栽培している田んぼや畑、さらには農村の周辺を含めた自然は、国民の生活に大切な役割も果たしている。例えば、水田には水源の涵養や自然環境の保全といった機能があり、これらのことを指して「農業の多面的機能」と言う。  『日本GAP規範 Ver. 1.1』 はじめに6, 1201, 9101 , 2014/5/30)

IPM(Integrated Pest Management:総合的病害虫・雑草管理):

 国が示した「IPM実践指針」による定義では、「利用可能な全ての防除技術を、経済性を考慮しつつ慎重に検討し、病害虫・雑草の発生・増加を抑えるための適切な手段を総合的に講じるものであり、これを通じ、人の健康に対するリスクと環境への負荷を軽減または最小の水準に留めるものである。また、農業を取り巻く生態系の攪乱を可能な限り抑制することにより、生態系のもつ病害虫や雑草の抑制機能を可能な限り活用し、安全で消費者に信頼される農作物の安定生産に資するものである」と定義されている。
 化学農薬により病害虫や雑草を必要以上に駆除したり、漫然と化学農薬を定期的に散布したりするのではなく、利用可能な多くの防除技術について、その経済性を考慮しつつ、病害虫・雑草の発生・増加を抑えるための適切な手段を総合的に実践することである。これによって経済的な損失を最小にしながら化学農薬の使用量を減らすことが可能となる。  適正農業規範『GAP導入』 p. 46, p. 122, p. 135, p. 137, p. 238 , 2009/1/30) (『日本GAP規範 Ver. 1.1』 はじめに6, 5501, 5501F, 5504, 2014/5/30) (『日本GAP規範 第2版』 5501, 1201表, 5503, 5504, 5504表, 2021/9/15) (『GH農場評価ガイドブック』p. 50, p. 60, p. 150, p. 180 , 2017/8/25)

ICM:

 Integrated Crop Management の頭文字をとったものであり、「総合作物管理」と訳される。農業生産の場面で、環境との調和、自然界との共生を図りながら、人類の生存のための食料を確保する努力をしているが、「IPM 技術」を実践することにより、高品質で安全な農産物の増収を可能にする総合的な作物管理をいう。  適正農業規範『GAP導入』 p. 46, p. 239 , 2009/1/30)

IP(統合生産):

 肥料・農薬の多投型農業、環境からの収奪型農業などの現代農業の行き過ぎを見直して、化学農薬から生物農薬への大転換を図るIPM や有機栽培(オーガニック)などの新たな技術導入と、徹底したGAP による統合化された農業(Integrated Production)のことをいう。  適正農業規範『GAP導入』 p. 45, p. 239 , 2009/1/30)

有機農業:

 英語では、オーガニック・ファーミング(Organic farming)、オーガニック・アグリカルチャー(Organic agriculture)という。自然環境や生態系と調和した形で実践されることを目ざした農業のことで、「有機農業の推進に関する法律」では、「化学的に合成された肥料および農薬を使用しないこと、並びに遺伝子組換え技術を利用しないことを基本として、農業生産に由来する環境への負荷をできる限り低減した農業生産方式を用いて行われる農業をいう」とある。  適正農業規範『GAP導入』 p. 46, p. 60, p. 239 , 2009/1/30)

循環型農業:

 農業は、本来、自然環境の中で生態系を活用して物質循環する産業であり、化学合成物質を使わない有機農業、耕種と畜産の複合農業、肥料・農薬の使用量の節減、作物残渣や食品残渣などの有機物のリサイクル利用、合理的な輪作体系などの幅広い取組みの総称である。  適正農業規範『GAP導入』 p. 45, p. 239, 2009/1/30)

有機塩素系農薬(Organochlorine pesticide):

 登録が失効しているBHC、DDTやエンドリン、ディルドリン、アルドリン、テロドリン、ヘプタクロルなどや、登録のあるベンゾエピンなど、塩素を多く含む有機化合物の殺虫剤をいう。これらは一般に安定性が高く、環境中での残留性が問題となっている。30年以上前に失効し、現在使用されていないにもかかわらず、過去に使用された農地で生産された農作物の中から残留基準値を超える有機塩素系殺虫剤が検出されることがある。  『日本GAP規範 Ver. 1.1』 はじめに3, 2807 , 2014/5/30)(『日本GAP規範 第2版』 3808, 2021/9/15)

有機質資源(Organic resources):

 有機質資源には、稲ワラ、モミガラ、作物残渣、家畜糞尿や植物残渣による堆肥などがあり、土壌改良資材や肥料として用いられる。農地に還元することで土壌中の腐食含量を増加させて土壌構造を改善したり、作物に栄養分を供給したりすることができる。このような有機質資源を有効に利用することで、豊かな栽培環境を作ることできる。  『日本GAP規範 Ver. 1.1』 1201F, 6502F , 2014/5/30)(『日本GAP規範 第2版』 1201, 7503, 2021/9/15)

有機質肥料(Organic manure)・有機肥料:

 魚粉、肉骨粉、油粕、皮革粉などのような有機物を原料とした肥料のことで、肥料取締法では普通肥料として扱われ、成分表示義務や公定規格等が定められている。一般に発酵処理されていないので、原料によっては病原菌が残留していることがあるので注意を要する。また、水分が高い場合には、保管中に発酵したり、有害微生物が増殖したりするので、充分乾燥したものを使用することが望ましい。本書では有機質肥料と堆肥は区別して用いている。  適正農業規範『GAP導入』 p. 240 , 2009/1/30)(『日本GAP規範 Ver. 1.1』 1201, 1502, 2104, 2203, 3403, 5308, 5401F, 6510, 8102表8-1, 8201, 8304 , 2014/5/30)(『日本GAP規範 第2版』 1201, 1204, 1304, 3104, 3205, 3304, 4403, 5401, 75012, 10201, 10203, 10405, 2021/9/15)(『GH農場評価ガイドブック』 pp. 52-53, p. 55, p. 90, p. 180 , 2017/8/25)

肥料:

 農業や園芸において植物の生育や土壌改良のために施すものをいう。法律上では、「植物の栄養に供すること、または植物の栽培に資するため、土壌に化学的変化をもたらすことを目的として土地にほどこされる物および植物の栄養に供することを目的として植物にほどこされる物をいう」(肥料取締法 第2 条 第1 項)とされる。主なものとして化学肥料や有機肥料などがある。JGAP では、適切な農場管理の視点から土壌改良資材も肥料と同じ管理点で扱っている。  適正農業規範『GAP導入』 p. 240 , 2009/1/30)

堆肥(Compost):

 生分解が可能な有機物の好気的な分解によって作られた肥料の総称であるが、近年では、家畜の糞、下水汚泥、生ごみ、稲わら、オガクズ、雑草、樹木の剪定屑など、有機質の各種廃棄物を原料に、堆積して発酵処理したものである。
 本来は、わらや落ち葉などを堆積して発酵させたものを堆肥、家畜排泄物を主な原料としたものを厩肥と呼んでいたが、近年、下水汚泥など様々な原料が使用されるようになり、原料に関わらず堆肥またはコンポストと呼ぶようになっている。一般にこれらの堆肥は、土壌の通気性、透水性などの物理性や、土壌微生物の量や質といった生物性を改善する効果があることから、低い肥料効果を持った土壌改良資材ともいわれる。  『日本GAP規範 Ver. 1.1』 1103表1-1, 1201, 1404, 2201, 2203, 2701, 2801F, 2805, 2806, 3403, 4306, 4406, 5103, 5212, 5301, 5302, 5304, 5308, 5309, 6101, 6502, 6502F, 6503, 6507, 6509, 6510, 6607, 6608F, 6611, 7404, 8201, 8404 , 2014/5/30)(『日本GAP規範 第2版』 1506, 3201, 3205, 3701, 3801, 3805, 3806, 3903, 4403, 5217, 5301, 5303, 5304, 6202, 6301, 6306, 6501, 6701, 6702, 6703, 7102, 7103, 7503, 7505, 7508, 7511, 7512, 7609, 7613, 7701, 8307, 9404, 10203 , 2021/9/15)(『GH農場評価ガイドブック』 p. 47 , 2017/8/25)

溶脱(Leaching):

 地下に浸透する水が土壌を通過することによって可溶性の物質が除去される過程を言う。  『日本GAP規範 Ver. 1.1』 6304 , 2014/5/30)

セイヨウオオマルハナバチ(Bombus terrestris):

 ミツバチ科マルハナバチ属に分類されるヨーロッパ原産のハチの一種であり、日本には外来種のハチとして野外に定着している。農作物の花粉を媒介する昆虫として世界中で利用されている。 日本では1991年に静岡県農業試験場で初めて導入された。温室トマトの受粉に用いるため、原産国のオランダやベルギーから人工増殖されたコロニーが1992年頃から本格的に輸入され始めた。セイヨウオオマルハナバチの導入によって、労力のかかる植物ホルモン剤処理を行わずに簡単にトマトの受粉が可能となり、トマト生産の効率化に大きく貢献した。それまで授粉用の昆虫として利用されてきたミツバチとは異なり、本種は蜜を分泌しない花でも効率的に受粉できるため、全国で利用されるようになった。  『日本GAP規範 Ver. 1.1』 5602, 5603 , 2014/5/30)(『GH農場評価ガイドブック』 p. 82 , 2017/8/25)

青果物:

 野菜と果物の総称である。菌茸類は、一般には特用林産物に分類されるが、JGAP では野菜の中に含まれる。  適正農業規範『GAP導入』 p237 , 2009/1/30)

穀物:

 米、麦類、その他の雑穀類を言い、「穀類」は穀物類のことである。JGAP では青果物として取り扱わない完熟した豆類やトウモロコシなども穀物に含まれる。  適正農業規範『GAP導入』 p237 , 2009/1/30)

圃場:

 作物を栽培する土地およびグリーンハウスなどをいう。  適正農業規範『GAP導入』 p237 , 2009/1/30)(『日本GAP規範 第2版』 ●●, 2021/9/15)

農場:

 圃場、調製施設などを含む農業経営の場所全体あるいは農業経営体そのものをいう。  適正農業規範『GAP導入』 p237 , 2009/1/30)

施設:

 農場内にある農業生産のための建物、構築物および装置をいう。  適正農業規範『GAP導入』 p238 , 2009/1/30)

組織図:

 GAP では農場経営の責任者および作業ごとの責任者が明確に分かる組織の図をいう。  適正農業規範『GAP導入』 p238 , 2009/1/30)

従業員:

 農場経営者に雇用されている作業者をいう。  適正農業規範『GAP導入』 p238 , 2009/1/30)

農薬:

 農業生産の効率化あるいは農産物の保存に用いられる農薬取締法に定められた薬剤をいう。殺虫剤、殺菌剤、防黴剤、殺虫殺菌剤、除草剤、殺そ剤、植物成長調整剤、誘引剤、展着剤、天敵、微生物剤などがある。害虫防除に使われる木酢液、竹酢液なども含まれる。  適正農業規範『GAP導入』 p101, 102, 177, 206, 216, 238 , 2009/1/30)

ポストハーベスト:

 日本では農産物等が収穫された後のことをいい、農林水産物の収穫後の研究を「ポストハーベスト研究」などというが、欧米では収穫された農産物の品質を保持するために用いられる農薬を「ポストハーベスト農薬」、この農薬で処理することを「ポストハーベスト」と総称する。  適正農業規範『GAP導入』 p238 , 2009/1/30)

特定農薬:

 その原材料に照らし、農作物、人畜および水産動植物等に危害を及ぼす恐れがないことが明らかなものとして農林水産大臣および環境大臣が指定する農薬をいう。改正農薬取締法第2条第1項に記載されている。  適正農業規範『GAP導入』 p202, 213, 238 , 2009/1/30)

環境負荷:

 農業では、大規模な灌漑、農作業の機械化、化学農薬と化学肥料の使用などの生産技術は、化学物質による土壌汚染、水質汚染、大気汚染や土壌の塩類集積などを起こすので、豊かな地球環境を悪化させている大きな環境負荷の要因であるといえる。  適正農業規範『GAP導入』 p60, 239 , 2009/1/30)

使用時期:

 それぞれの農薬について、農薬取締法に定められた使用可能時期のことである。土壌消毒剤の定植前の使用や、農薬使用の収穫前日数などのことである。  適正農業規範『GAP導入』 p240 , 2009/1/30)

ドリフト(Drift):

 農薬のドリフトとは、散布された農薬が目的外の作物に付着してしまう現象のことを言う。ドリフトによって農薬が目的外の作物に付着した場合、作物にその農薬の適用登録がない場合には、「無登録農薬」ということになり、農薬取締法違反になる。  適正農業規範『GAP導入』 p. 41, p. 98, p. 108, p. 184, p. 187, p. 211, p. 212, p. 240 , 2009/1/30)(『GH農場評価ガイドブック』 p. 18, p. 33, p. 57, p. 71, pp. 79-80, pp. 160-161, p. 170 , 2017/8/25)

土壌診断:

 作物の収量・品質の向上や、農作業のやり易さ、適正な施肥量や土壌改良資材の施用量などを算出することを目的に、圃場の土壌の状態について総合的に調べることをいう。土壌の状態は、作物の病害発生とも密接な関係があり、土壌診断は土壌の健康診断とも呼ばれる。  適正農業規範『GAP導入』 p. 188, p. 240 , 2009/1/30)

土壌図:

 特性の異なる土壌の分布を地図上に示したもので、土地資源の台帳となる。土壌改良や施肥などの参考になる。  適正農業規範『GAP導入』 p. 241 , 2009/1/30)

自然保護地:

 環境省が定めた次の地域をいう。原生自然環境保全地域、自然環境保全地域、都道府県自然環境保全地域、国立公園、国定公園、都道府県立自然公園、鳥獣保護区、生息地等保護区、ラムサール条約登録湿地、世界自然遺産。これらの自然保護地には、農薬等の廃棄が禁止されている。  適正農業規範『GAP導入』 p. 241 , 2009/1/30)

家畜糞尿処理(Livestock manure treatment):

 家畜糞尿は、窒素分、リン酸分、カリ分といった養分を多く含むことから、不適切な施用により地下水の硝酸塩濃度を高めたり、河川に流出して湖沼の富栄養化の原因になったりすることがある。このため、適切な排水処理を行うことや、堆肥化して農地に還元することで持続可能な循環型農業を実現することが重要となる。  『日本GAP規範 Ver. 1.1』 6101, 6501F, 6503, 6504, 2014/5/30)(『日本GAP規範 第2版』 0401, 1201, 1202, 1206表, 3304, 2602, 3805, 4103, 4104, 4403, 5201表, 7613, 9201, 9202, 9404, 2021/9/15)

濁水(Turbid Water):

 水田の代掻きから田植えまでの時期に、水田から大量に排出される濁水には、窒素やリンなどの養分が大量に含まれており、河川等の水質悪化の一因になっている。持続的農業の観点から特に代掻き時の濁水の流出防止が図られている。   (『GH農場評価ガイドブック』 p. 43 , 2017/8/25)

汚水(Dirty water):

 農場全般としては、農場から排出される汚物や廃液を含んだ排水のことを言う。畜産でいう汚水は、少し汚れた畜舎のパドックや搾乳用のパーラーから流出した液のことを言う。窒素分が多く含まれる糞尿スラリーやサイレージ排汁などは含まれない。  『日本GAP規範 Ver. 1.1』 6506, 6507, 6601, 6601F, 6602, 6603, 2014/5/30) (『日本GAP規範 第2版』 1404表, 2101表, 4402, 6703, 7103, 7307, 7507, 7508, 7601, 7602, 7603, 7604, 7605, 7606, 9301, 2021/9/15) (『GH農場評価ガイドブック』 p. 39, p. 74 , 2017/8/25)

スラリー(Slurry):

 一般には「懸濁液」のことを意味するが、このGAP規範では「家畜糞尿スラリー」の意味であり、家畜の糞と尿が混合されて懸濁状になっているものおよび畜舎やパドックにおいて家畜により生産される排泄物(糞尿)と敷料や雨水、洗浄水などの混ざった液体をいい、ポンプ輸送や重力放出が出来る軟らかさを持つものをいう。糞尿スラリーから分離した液状の部分もスラリーと言われる。通常、3ヵ月間以上貯蔵して腐熟させたものを圃場に散布するが、スラリーは発酵熱が高くならないため、スラリーに由来する病原微生物や寄生虫が残留している可能性があるので、施用には特に注意を要する。  『日本GAP規範 Ver. 1.1』 6506, 6507, 6601, 6611 , 2014/5/30)(『日本GAP規範 第2版』 7507, 7508, 7601, 7613, 2021/9/15)

下水汚泥コンポスト(Sewage sludge compost):

 下水汚泥にモミガラやオガクズのような副資材を添加して発酵・調製した有機質の肥料。窒素分やリン酸分を多く含むが、カリ分はほとんど含まないという特徴がある。また、亜鉛や銅などの重金属含量が比較的高く、高濃度に集積すると、生育障害を起す可能性があるため、街路樹や公園といった緑地以外の作物を栽培する農地に施用する時は、重金属が蓄積しないよう注意する必要がある。  『日本GAP規範 Ver. 1.1』 2801F, 5305, 5306, 5307 , 2014/5/30)(『日本GAP規範 第2版』 3801, 5302, 2021/9/15)(『GH農場評価ガイドブック』 p. 55 , 2017/8/25)

懸濁物質(Suspended Solid):

 水質指標の一つで、水中に浮遊する不溶物質の総称である。農業では水田の代掻きにより生じる濁水の畦畔からの漏出や落水、降雨による耕土の流亡などにより河川に流出する。この場合、微細な土壌粒子とともに、リン酸などの養分も同時に流出し、湖沼等閉鎖水域での富栄養化の原因となることがある。  『日本GAP規範 Ver. 1.1』 2604 , 2014/5/30)(『日本GAP規範 第2版』 6403, 2021/9/15)

廃液、排液、排汁(Waste fluid, Released fluid):

 排液は、余分なものを取り除いた液体であり、貯留したものを後に使用することもできるが、廃水は、使用後に不純物や有害物質などによって汚染された液体のことであり、廃水処理などで浄化処理などが行われる。サイレージから出てくる液体は、有効に利用することが出来る液体であるが、通常「排汁」と言う用語が用いられる。  『日本GAP規範 Ver. 1.1』 3403, 6607 , 2014/5/30)

農産物生産に必要な水の量(Virtual water):

 日本で1キロの米を生産するには、一般に3, 600倍の3.6トンの水が必要とされる。トウモロコシは1, 900倍、小麦は2, 000倍、大豆は2, 500倍、鶏肉は4, 500倍、牛肉は20, 000倍以上の水資源が必要とされている。農産物・食品の生産に必要な水の量を具体的な数値として製品に表示するウォーター・フットプリントが提案されている。  『日本GAP規範 Ver. 1.1』 3101F , 2014/5/30)

水利権(Water Rights, Irrigation Rights):

 河川の流水や湖沼の水などを排他的に取水して利用できる権利のこと。河川法が定める公法上の権利(行政機関の許可に基づく権利)  『GH農場評価ガイドブック』 p. 42 , 2017/8/25)

水利慣行(Customary practice of irrigation rights):

 日本で行われている水田稲作等において農業用水等の共同利用に関する古くからの慣習をいい、民法などの法律で定められていないものをいう。用水の水源に近い上流域、古い水田地帯の政治力の強い村落などに水利用についての優先権が与えられている場合が多い。  『日本GAP規範 Ver. 1.1』 3101, 3101F , 2014/5/30) (『日本GAP規範 第2版』 4101表, 2021/9/15)(『GH農場評価ガイドブック』 p. 42 , 2017/8/25)

表面水、表流水(Surface water):

 表流水ともいう。河川、小川、水のある溝、水路、運河、湖沼、池、溜池、河口、沿岸水域などを表面水あるいは表流水という。これには、一時的に乾いた溝や暗渠なども含まれる。表面水の中で、特に流れのあるものを表流水と言う。  『日本GAP規範 Ver. 1.1』 2202, 2302, 2401F, 2602, 2606, 4506, 2014/5/30)(『日本GAP規範 第2版』 4402, 4403, 6304, 7605, 7609, 8303, 9301, 3204, 3302, 3401, 3601, 3605, 8401, 2021/9/15)

富栄養化(Eutrophication):

 作物の栄養塩類である窒素分やリン酸分などが、水系においては、河川や地下水から湖沼・溜池や内湾といった閉鎖系水域に過剰に流入し、栄養塩類の濃度が高まることである。結果として、植物性プランクトンの異常発生など、目に見える現象として表れ、異臭や魚類のへい死などを起こす場合がある。農地に施用する肥料成分の河川への流出が主要な原因の一つといわれる。  『日本GAP規範 Ver. 1.1』 はじめに3, 1103表1-1, 1204, 1205, 2601, 2603, 2604, 2606, 3104F, 3501, 6205 , 2014/5/30)(『日本GAP規範 第2版』 0202, 1103, 1204, 1206ひょう, 3601, 3602, 3603, 3605, 4105表, 4501, 7206, 2021/9/15)(『GH農場評価ガイドブック』 pp. 43-44 , 2017/8/25)

野焼き(Burn off in a field):

 作物の残渣や家庭からのごみなどを野外で焼却することで、一部の例外を除いて野焼きは禁止されている。野焼きは、ダイオキシンなどの有害物質を発生させるなどの大気汚染の原因となるだけではなく、煙は近隣住民の迷惑にもなる。一方、作物残渣などを燃やさずに土壌還元することは、土壌を肥沃にするなど、資源の循環にも役立つことになる。  『日本GAP規範 Ver. 1.1』 1103表1-1, 1206 , 2014/5/30)(『日本GAP規範 第2版』 9503, 2021/9/15)(『GH農場評価ガイドブック』 p. 178, 2017/8/25)

被覆作物(Cover crop):

 作物として収穫せずに、主に土壌から窒素分を吸収させたり、土壌の流亡を防いだりする目的で播種される植物のことである。  『日本GAP規範 Ver. 1.1』 4305 , 2014/5/30)


農薬管理指導士(Pesticide Control Advisor)、農薬適正使用アドバイザー(Advisors for pesticide control):

 都道府県では、農薬の取扱いと使用に関する安全性の確保を徹底させるため、農薬の販売業者や防除業者の資質を向上させる目的で、農薬の取扱いについて指導的役割を果たす者として「農薬管理指導士」等(「農薬管理員」、「農薬指導士」、「農薬管理士」等)を認定している。「農薬管理指導士」等は農薬取扱業者を対象としているが、農産物の安全性を確保するために、正しい農薬の使用をアドバイスする者を育成する必要性が高まったことから、農協の営農指導担当者や指導的な農業者等、農薬取扱事業者以外の者も対象とした「農薬適正使用アドバイザー」等(「農薬適正使用推進員」、「農薬相談員」、「農薬アドバイザー」等)を設け、平成14年から育成が開始された。
 農薬の使用に係るこれらの指導者は、環境・人・農産物(食品)の安全性を確保する上で重要な任務を負っており、自らの資質の向上が求められている。  『日本GAP規範 Ver. 1.1』 5502, 5505, 5506 , 2014/5/30)(『日本GAP規範 第2版』 5505, 2021/9/15)(『GH農場評価ガイドブック』 p. 62 , 2017/8/25)

トレーサビリティ:

 物品の流通経路を生産段階から最終消費段階まで追跡が可能な状態をいう。日本語では「追跡可能性」とも言われる。GAP では、出荷された農産物からその農産物を生産した農場および生産者が特定できることをいう。生産者が自分の農場で作られた農産物の出荷先を記録していること、その農産物の生産に使われた農薬、肥料などの化学物質や資材などが記録されていることが必要である。  適正農業規範『GAP導入』 p. 27, p. 100, p. 109, p. 113, p. 133, p. 146, p. 241, 2009/1/30)

営農センター:

 農協など生産者組織の営農指導の拠点のことで、GAP では農場管理システムのオペレーションセンターとなるものである。営農指導の事務局機能のほか、選果場やライスセンターなど、農産物の集出荷施設を運営する場合もある。
 適正農業規範『GAP導入』 p. 241 , 2009/1/30)

農業改良普及センター:

 都道府県が改良普及員の活動拠点として設置し、改良普及員相互の連絡・調整、農業者に対する情報提供、新規就農促進のための情報の提供・相談等を実施する機関である。効率性追求型の農業指導から、GAP 規範の指導にシフトすることも求められている。  適正農業規範『GAP導入』 p. 205, p. 241 , 2009/1/30)

農業総合化:

 農業という仕事の特性そのものを指している。農業を行うには、そのための広範な知識と経験が必要になる。生産者は、作物やその品種の特性、良い堆肥や土壌の作り方、作型の選択、播種・移植の時期と方法、作物と生育時期に合った施肥管理、病害虫の防除や除草と農薬の使い方、適切な水やり・灌漑、気象変化に伴う作物への手入れ、品質判定と収穫時期、収穫後の調製・包装、輸送中の品質保持、販売者へのアドバイスなど、多岐にわたる知識と経験をもとに常に判断しながら農作業を実施し、農産物を生産している。このような様々な知識と経験と知恵を有機的に総動員することを「総合化」という。  適正農業規範『GAP導入』 p. 241 , 2009/1/30)

5S:

 整理・整頓、清掃・清潔、躾(しつけ)のことを5S と呼ぶ。農場管理の5Sにより、農産物の安全性や作業者の安全性の確保を目指す。また、5S の結果、農産物生産のコストダウンと生産性の向上の双方に対する好ましい効果を期待することができると言われる。  適正農業規範『GAP導入』 p. 17, p. 201, p. 242 , 2009/1/30)

食品産業連関表:

 1年間に食品産業の部門間でどのように生産され、販売されたかについて、「購入→生産→販売」という連鎖的なつながりを、行列(マトリックス)の形で一覧表に表したものが産業連関表である。10 府省庁の共同事業として5 年に1回作成されている。  適正農業規範『GAP導入』 p. 20, p. 242 , 2009/1/30)

食品産業:

 食料・飲料を消費者に供給するまでの過程を担っている産業のこと。食品製造業、食品流通業(卸売、小売)、外食産業の3つによって構成される。  適正農業規範『GAP導入』 p. 21, p. 242 , 2009/1/30)

食品製造業:

 農業・漁業部門からの農畜水産物を原料として様々な加工を行い、加工食品を製造する業種である。他の食品製造業から一次加工品を仕入れてさらに高次の加工食品を製造したり、製品を直接消費者に供給したり、飲食店(外食産業)や他の食品製造業に供給することなども行っている。  適正農業規範『GAP導入』 p. 21, p. 242 , 2009/1/30)

外食産業:

 一般に飲食店といわれる、家庭以外での飲食のサービスを提供する産業の総称で、フード・サービス産業(Food Service Industry)とも呼ばれる。この中には、中食と言われるテイクアウト食品も含まれる。  適正農業規範『GAP導入』 p. 21, p. 243 , 2009/1/30)

卸売市場法:

 生産者に対しては安定かつ信用ある販路を提供し、販売業者に対しては安定した仕入の場を提供する目的で、長年にわたって日本の農産物流通の中心的存在であった卸売市場を管理するための法律である。取引規制の緩和、品質管理の高度化、卸売市場の再編、手数料の弾力化などを目指して、2004 年に改正された。改正の内容は、セリ売りではなく相対売、価格提示の対面販売、買付集荷、第三者販売がそれぞれ可能となり、手数料も完全自由化されている。  適正農業規範『GAP導入』 p. 22, p. 243 , 2009/1/30)

農協:

 農業者で組織された協同組合のことで、農業技術の指導や農産物流通の支援、金融事業、購買事業、販売事業など多岐にわたる活動を行っている。加入者は、大半が零細な米作農家であるが、規模や組織力は、世界の農協の中でも有数であり、特異なものとなっている。全国農業協同組合中央会が組織する農協グループ(総合農協)を、JA(ジェイエイ、Japan Agricultural Cooperatives)と呼ぶ。  適正農業規範『GAP導入』 p. 23, p. 56, p. 119, p. 128, p. 243 , 2009/1/30)

公設市場:

 卸売市場法にもとづいて地方公共団体が開設する青果や鮮魚の卸売市場のこと。  適正農業規範『GAP導入』 p. 243 , 2009/1/30)

ビジネスモデル:

 事業活動または事業構想を表現するビジネスの仕組みのこと。誰にどんな価値を提供し、そのために経営資源をどのように組み合わせ、関係者や顧客とどうコミュニケーションし、どのような流通経路と価格体系で、商品やサービスを提供するかなどのデザインに関する思想のことである。  適正農業規範『GAP導入』 p. 23, p. 243 , 2009/1/30)

パラダイム変換(パラダイムシフト):

 パラダイムとは、科学史上の基本概念であるが、ビジネス用語としては、ある時代の一つの考え方や一つのものの見方のことである。その基本概念が変わること、つまり、ある時代に定着していた一つの考え方やものの見方が大きく変わることをパラダイム変換という。過去においては、天動説から地動説になったとき大きなパラダイム変換が起こった。現代は、社会や科学においてパラダイム変換が起こっていると言われている。食と農、環境などについてもパラダイム変換が起こっている。  適正農業規範『GAP導入』 p. 244 , 2009/1/30)

デマンド(要求):

 Demand とは、需要、要求という意味で、オン・デマンドは、要求があった時にサービスを提供する方式のこと。農産物も、「作ったものを売る時代から、求められるものを作る時代になった」といわれている。  適正農業規範『GAP導入』 p. 23, p. 244 , 2009/1/30)

コーディネーター機能:

 農産物の旬は短いので、産地では複数の流通チャンネルが必要である。小売側では、年間の品揃えが必要なので複数の調達チャンネルが必要である。この需要と供給の調整を、産地側と消費地側とのコーディネーターが双方の情報を共有し、効率的な流通を企画する機能のこと。>  適正農業規範『GAP導入』 p. 244 , 2009/1/30)

マーチャンダイジング(商品計画):

 どのような商品やサービスを開発するかを計画し、戦略的に品揃えを行う活動のことをいう。言い換えれば、商品やサービスを販売したい適切な消費者に、適切な場所、適切なタイミング、適切な価格、適切な量などで供給する計画のこと。  適正農業規範『GAP導入』 p. 23, p. 244 , 2009/1/30)

チェーンストア:

 小売業の経営管理の手法で、店の規模や形、商品の品揃え、価格などがほぼ同じに標準化された多数の店舗を効率的に一元管理するシステムをいう。食品産業では、コンビニエンスストア、生鮮食品と生活総合雑貨などを売る大型量販店(ビッグストアー)、ファミリーレストランやファストフード店などがある。  適正農業規範『GAP導入』 p. 25, p. 244 , 2009/1/30)

SCP:

 Supplier Code of Practice の略。農産物の流通業界も「健康と環境」に取り組まないと消費者の支持が得られない社会状況になり、ヨーロッパでは、1990 年頃から農産物の小売業がサプライヤー(卸売)に対して、GAP とGMP を内容とする要求事項SCP(Supplier Code of Practice)を出すようになった。  適正農業規範『GAP導入』 p. 25, p. 47, p. 245 , 2009/1/30)

BRC:

 イギリス小売協会(BRC: British Retail Consortium)が発行したBRC Global Food(国際食品規格)規準で、いわゆるGMP 規準。ヨーロッパでは、選果場などを持つ生産者団体はほとんどが取得している認証制度である。  適正農業規範『GAP導入』 p. 26, p. 245 , 2009/1/30)

IFS:

 ドイツ・フランスの食品小売業団体が発行した国際食品規格のIFS(International Food Standard)認証制度のこと。  適正農業規範『GAP導入』 p. 26, p. 245 , 2009/1/30)

GFSI(the Grobal Food Safety Initiative):

 世界最大規模の食品供給業者のネットワークであるCIES(ComiteInternational d’ Entreprises a Succursales)のワーキンググループのこと。GFSI は、食品安全規格に関する3主要要素として、食品安全管理システム(業務の手順、プロセスの相互作用を文書化する)を確立し、各段階での適正規範(GAP・GMP・GDP)を整備し、それらは、危害分析と重要管理点(HACCP に基づくか又は同等)に基づく必要がある、ことを提案している。  適正農業規範『GAP導入』 p. 49, p. 50, p. 245 , 2009/1/30)

SQF(Safe Quality Food):

 1994 年に西オーストラリア州農務省が開発し、2003 年からはアメリカ食品マーケティング協会が運営している「食の安全性と品質」を同時に保証する認証制度。HACCP の手法管理とISO9001 の品質マネジメントシステムの管理を要求している。SQF1000 はGAP であり、SQF2000はGMP である。  適正農業規範『GAP導入』 p. 50, p. 245 , 2009/1/30)

ロジスティクス(物流統合システム):

 顧客の要求を満たすことを目的として、材料の調達から、生産、流通、最終ユーザーへの製品の配達、廃棄・回収までのものの流れに関する情報を効率的かつ効果的に計画、実施、管理すること。  適正農業規範『GAP導入』 p. 26, p. 246 , 2009/1/30)

DU:

 Display Until の略で、農産物を店頭販売できる期限のことである。イギリスのスーパーの「テスコ」などでは、店頭で販売する果物などのラベルにDU の日付を印字し、卸業者と小売業者との品質に関する責任を明確にしている。  適正農業規範『GAP導入』 p. 30, p. 246 , 2009/1/30)

サプライチェーン(サプライチェーン・マネジメント):

 サプライ(供給)チェーン(連鎖)は、商品の生産、運搬、加工・組立て、提供というプロセスを一貫管理することである。同一企業内のケースと一部を外部に委託する場合があり、すべてをコンピューター管理するSCM(サプライチェーン・マネジメント)として論じられる。  適正農業規範『GAP導入』 p. 34, p. 246 , 2009/1/30)


放射性物質(Radioactive substances):

 原子力発電所の事故等により人為的に生成される物質で、先の東日本大震災に伴う爆発事故によりヨウ素131(半減期8.0日)、セシウム134(半減期2.1年)、セシウム137(半減期30年)が広範囲に拡散した。ヨウ素131は半減期が短いが、特にセシウム137は半減期が長く水溶性なので、摂取されると体全体に分布し、筋組織で濃度が高くなり、内部被爆を起こすので注意する必要がある。  『日本GAP規範 Ver. 1.1』 2810, 2014/5/30)(『日本GAP規範 第2版』 39011, 3903表, 11307, 2021/9/15)(『GH農場評価ガイドブック』 p. 33, p. 55 , 2017/8/25)

沈黙の春(Silent Spring):

 生物学者レイチェル・カーソン(Rachel Carson)が、DDTなどの化学合成農薬の使用による環境への蓄積が生態系の破壊など環境悪化を招くことを指摘した本の題名である。この本は1962年に出版され、世界的ベストセラーとなり、一般市民の環境問題に対する関心を高めるきっかけとなった。なお、有吉佐和子の「複合汚染」が朝日新聞に連載されたのは、それから12年後の1974年10月からの約8ヵ月である。  『日本GAP規範 Ver. 1.1』 はじめに3 , 2014/5/30)

単一支払(Single payment):

 EU加盟国で実施されている生産実績に基づく農業経営所得補償政策のこと。この制度による補助金を受け取るためには、その国・地域の適正農業規範(GAP規範)に関連する環境配慮要件(クロス・コンプライアンス)を遵守することを義務化している。税金である補助金は、国民自らが食料の安定生産と豊かな環境の維持等に対しての対価として支払うものであり、農家がGAP規範に違反している場合には補助金の減額や停止などの罰則が課される。  『日本GAP規範 Ver. 1.1』 はじめに4 , 2014/5/30)

公害防止条例(Antipollution ordinance):

 公害防止のために地方公共団体が定めた条例の総称で、その内容には様々なものがある。第二次大戦後、1949年には東京都が「工場公害防止条例」を制定し、続いて1951年には神奈川県が「事業場公害防止条例」、1954年には大阪府も「事業場公害防止条例」を定めた。このように、初期には国による公害規制の法律が整備される前に、公害問題の激しい地域で公害対策を独自に進めるために定められたものであるが、1967年の国の「公害対策基本法」の制定から1970年の公害国会において整備された公害諸法をきっかけに、全国の地方公共団体で「公害防止条例」と名づけた条例の制定が広まった。
 その内容としては、地方公共団体の公害対策の基本的姿勢を明らかにするものや、地域の環境等の実情に即したきめ細かな規制などが含まれる。1993年11月に従来の「公害対策基本法」が「環境基本法」に改められ、それに習って地方でも「公害防止条例」を「環境基本条例」などの新たな名称に改定する動きが活発化した。  『日本GAP規範 Ver. 1.1』 3103, 3104F, 6101, 6101F, 6601F, 6602, 2014/5/30)(『日本GAP規範 第2版』 4103, 4105票, 7103表, 7601表, 7603, 2021/9/15)

温室効果ガス(Greenhouse gas, GHG):

 太陽からの熱を大気圏に閉じ込め、地表を暖める効果のある気体の総称で、二酸化炭素やメタン、亜酸化窒素などが知られている。農業では、湛水された水田土壌や牛の胃袋などから微生物の作用によってメタンが生成し、畑土壌からは亜酸化窒素が大気中に放出され、これらの削減が課題となっている。  『日本GAP規範 Ver. 1.1』 1206, 2404, 4103, 4309, 2014/5/30)(『日本GAP規範 第2版』 1205, 6802, 2021/9/15)

可給態窒素(Readily available nitrogen):

 作物が吸収利用できる無機態窒素に変化し得る有機態窒素の量であり、土壌中の有機態窒素から無機化する窒素量を知るには有効な手段として古くから利用されているが、分析に長時間を要するのが難点となってきた。最近では、アミノ酸態やアンモニア態、硝酸態窒素等を直接測定する方法として近赤外分光法、ケルダール分析法、ニンヒドリン発色法、紫外線吸収法などの迅速測定法が開発されている。  『日本GAP規範 Ver. 1.1』 2301, 2301F , 2014/5/30)(『日本GAP規範 第2版』 3301, 2021/9/15)

可給態(有効態)リン酸(Readily available phosphate):

 土壌中に含まれる全リン酸のうち、植物が利用できる量は5分の1から20分の1程度といわれている。特に日本に多い火山灰土壌ではリン酸の利用される割合が低く、作物が必要とする量の何倍ものリン酸の施用を必要とする場合がある。可給態リン酸の土壌分析では、トルオーグ法という分析法が用いられ、植物が吸収しやすいリン酸だけを測定し、可給態リン酸(有効態リン酸)としている。  『日本GAP規範 Ver. 1.1』 2606, 2606F , 2014/5/30)(『日本GAP規範 第2版』 3605表, 2021/9/15)

EC(Electric conductivity):

  導電体の中を電荷が移動する量を表わす指標であり、農業においては、潅漑水や養液栽培で使われる液肥、あるいは土壌と水を1:5の割合で混合した懸濁液の電気伝導率を示すものであり、単位はミリジーメンス(mS)/cm。ECは塩類濃度の指標として使われ、水に溶けている肥料成分の過不足や、土壌中の塩類蓄積の大小を示したりする重要な指標である。  『日本GAP規範 Ver. 1.1』 2205 , 2014/5/30)(『日本GAP規範 第2版』 3207, 2021/9/15)

COD(Chemical Oxygen Demand):

 水中の有機物量を酸化分解したときに消費される酸素量を示し、COD(化学的酸素要求量)は過マンガン酸カリの化学反応による消費酸素量を表している。水中の微生物による消費酸素量を示すBOD(生物化学的酸素要求量)とともに用いられ、いずれも数値が大きいほど水中の有機物濃度が高いことを示す。  『日本GAP規範 Ver. 1.1』 6601F , 2014/5/30)

重金属汚染(Heavy metal pollution):

 農業における主な重金属汚染物質は、カドミウム、銅、ヒ素である。このうち、カドミウムは稲などの作物によって土壌から吸収され、玄米などの可食部に蓄積することが知られており、これを食べた人に健康被害を与えることがある。一方、銅やヒ素は作物の生育そのものを強く抑制し、量が多ければ枯死させることもある。重金属汚染の被害は、土壌の酸化還元の状態や酸度(pH)によって変化するので、この性質を利用した被害軽減策がとられることもある。  『日本GAP規範 Ver. 1.1』 2802, 2802F, 2803, 2804, 2805, 2806 , 2014/5/30)(『GH農場評価ガイドブック』 p.55 , 2017/8/25)

硝酸塩脆弱地域(Nitrate Vulnerable Zone:NVZ):

 EUの「硝酸指令」の第3条に基づき、その指令の目的に沿った硝酸の影響を受けやすい地域を「硝酸塩脆弱地域」として指定されている。日本には、硝酸塩脆弱地域に関する法令も、これに設定された地域もない。  『日本GAP規範 Ver. 1.1』 5101, 5103 , 2014/5/30)

硝酸指令(Nitrates Directive):

 EUの水質に関係する二大規制である「硝酸指令」と「水枠組み指令」のうちの一つ。家畜糞尿由来の堆肥などの有機質肥料や化学合成肥料を農地へ多量に投入することにより起こる農業起源の硝酸に関するEU閣僚理事会の指令。この指令により、硝酸によって生ずる地下水の汚染や河川・湖沼等の富栄養化を削減・防止することを目的としている。  『日本GAP規範 Ver. 1.1』 はじめに4, はじめに6, 2014/5/30)

アニマルウェルフェア(Animal welfare)動物福祉:

 元々は欧州で生まれた概念で、「動物福祉」と訳される場合があるが、日本語の「福祉」は社会保障制度を指す言葉として使われていることから、本来の「幸福」や「良く生きる」という概念がなく誤解を生む恐れがあるので、学会等では「アニマルウェルフェア」とカタカナ表記され、「快適性に配慮した家畜の飼養管理」と定義されている。
 アニマルウェルフェアが客観的に満たされているかどうかを判断するため、1.渇き、飢え、栄養不良からの自由、2.恐怖と苦悩からの自由、3.肉体的な不快感からの自由、4.痛み、傷害、病気からの自由、5.正常な行動のできる自由の5つの自由が作られた。この5項目は、動物福祉の国際的なガイダンスとして広く浸透している。この「5項目の自由」が満たされていなければ、家畜等に充分な福祉が与えられていないと考えられる。  『日本GAP規範 Ver. 1.1』 6102, 6102F, 6202, 6301, 2014/5/30)(『日本GAP規範 第2版』 序章0402, 7201, 7202, 7210, 7301, 2021/9/15)

O-157(腸管出血性大腸菌):

 人間の腸管内に感染して下痢症などを引き起こす大腸を「病原性大腸菌」と呼び、O-157 はその一種で、出血性大腸炎に続いて溶血性尿毒症を引き起こすことが知られている。日本では1996 年7 月、大阪府堺市の学校給食で患者9, 523 人(うち死者3 人)という大規模な食中毒がおき指定伝染病にされた。2006 年8 月には、アメリカでO-157 による食中毒が発生し、20 州以上で数千人が感染し、高齢者2 人と幼児1 人が死亡した。感染源はカリフォルニア産のほうれん草とみられている。  適正農業規範『GAP導入』 p. 34, p. 80, p. 246 , 2009/1/30)

中毒細菌:

 食中毒は、その原因になった微生物や化学物質などによって、細菌性食中毒、ウィルス性食中毒、化学性食中毒、自然毒食中毒、その他に大別される。中毒細菌には、黄色ブドウ球菌、ボツリヌス菌などの毒素型と、腸炎ビブリオ、サルモネラ属菌、病原性大腸菌、リステリア属菌などの感染型とがある。  適正農業規範『GAP導入』 p. 35, p. 106, p. 246 , 2009/1/30)

FDA(アメリカ食品医薬品局):

 Food and Drug Administration の略で、アメリカ食品医薬品局のこと。日本の厚生労働省に相当する機関で医薬品の認可を行っている。  適正農業規範『GAP導入』 p. 34, p. 247 , 2009/1/30)

WHO(世界保健機関):

 World Health Organization の略で、基本的人権の一つとしての健康を守る国際連合の専門機関である。  適正農業規範『GAP導入』 p. 78, p. 247 , 2009/1/30)

Codex 委員会:

 FAO とWHO が共同で設立した合同食品企画委員会のこと。消費者の健康の保護、食品の公正な貿易の確保等を目的として、国際食品規格(コーデックス規格)の作成等を行っている。食品添加物や残留農薬などの規格基準は、国際的整合性が図られる際に、国際基準として参照される。  適正農業規範『GAP導入』 p. 78, p. 247 , 2009/1/30)

ADI:

 Acceptable Daily Intake の略で、許容1日摂取量のこと。ある物質を人が生涯毎日摂取し続けたとしても、安全性に問題のない量として定められているもの。食品添加物や農薬等の安全性指標として用いられ、1日当たり体重1kg 当たりの物質量(mg/kg/day)で表される。  適正農業規範『GAP導入』 p. 247 , 2009/1/30)

MRL(最大残留限界):

 Maximum Residue Limit の略で、ADI に基づいて、個々の食品ごとに残留しても人の健康に影響がないと判断される最大濃度のこと。厚生労働省は、食品衛生法に基づいて策定する食品等の規格・基準のひとつとして残留基準値を設定している。  適正農業規範『GAP導入』 p. 78, p. 247 , 2009/1/30)

食品衛生法:

 食品の安全性確保と飲食における衛生上の危害発生を防止することで、国民の健康を保護することを目的とした法律。食品及び添加物、器具及び容器包装、表示及び広告、監視指導、検査、営業等について定められている。2003 年5 月の一部改正では、食品供給事業者の食品等の安全性確保が義務づけられ、残留農薬等のポジティブリスト制が導入された。  適正農業規範『GAP導入』 p. 37, p. 247 , 2009/1/30)

ポジティブリスト制度:

 食品中に残留する農薬等(農薬、飼料添加物及び動物用医薬品)が、一定の量を超えて残留する食品の販売等を原則禁止する制度のこと。2003 年5 月の改正前の食品衛生法の規制では、食品から残留基準が設定されていない農薬等が検出されても、販売等を禁止する措置がとれなかった(ネガティブリスト)が、ポジティブリスト制度では、一律基準(0.01ppm)を超えて食品に残留していることが明らかになった場合は、販売禁止の規制対象となる。  適正農業規範『GAP導入』 p. 41, p. 79, p. 248 , 2009/1/30)

残留農薬検査:

 農薬の残留基準を超えた食品は流通できない。食品衛生法が改正され、食品中に残留する農薬等の規制がポジティブリスト制度になったことに伴い、農産物の生産者や流通業者は、自分が販売する商品に食品衛生法の基準値を超えた農薬が残留していないことを確認し、証明することが必要になり、残留農薬の検査が増えている。GAP の認証制度では残留農薬検査が義務付けられている。  適正農業規範『GAP導入』 p. 38, p. 109, p. 134, p. 248, 2009/1/30)

残留基準:

 農薬の残留基準は、食品衛生法のポジティブリスト制度により定められている。ポジティブリスト制度には3 つの大きな柱がある。①「暫定基準」、国内や海外で使用される農薬や動物薬、飼料添加物について、国際基準であるCodex や農薬登録保留基準、先進諸外国の基準を参考として暫定的に基準値が設定され、これを超える食品については流通が禁止される。②「一律基準」、基準値が設定されていない農薬等には「人の健康を損なうおそれのない量」として0.01ppm が適用され、この数値を超える場合は流通が禁止される。③「対象外物質」、残留しても人の健康を損なう恐れのない物質で、重曹やアミノ酸など65 物質が定められている。  適正農業規範『GAP導入』 p. 37, p. 248 , 2009/1/30)

収穫可能期日:

 農薬を散布した後の作物の収穫可能期日は、農薬のラベルに記載されている「使用時期」の欄の「収穫前日数」で決まる。農薬は、使用すると同時に環境要因により残留毒性が減少していく。成分により時間の長短はあるが残留量は日々に半減を繰り返しゼロに近づいていく。決められている収穫前日数は、作物に使用された成分の残留が安全なレベルにまで低下する日数を見て作られている。従って、収穫可能期日にならない内に収穫した場合には、収穫物への農薬残留が基準より多くなり、処罰の対象となる恐れがある。「収穫前日」の場合は、薬剤使用が終わってから24 時間経過であることの注意が必要である。  適正農業規範『GAP導入』 p. 79, p. 248 , 2009/1/30)

バーチャル・コーポレーション:

 物理的に離れた複数の経営体が情報システムによって連携し、あたかも一つの企業内の部門のように機能することをいう。生産部会は構成する複数の生産者が全体として一つの経営体として機能するバーチャル・コーポレーションである。複数企業が密接に連携して業務を進めるためには,お互いの業務の詳細データを共有することが欠かせない。生産部会としての共通の栽培計画や実施すべき技術・手順などは、独自に行うのではなく、組織の一員として足並みを揃えて実施することになる。その結果として、共通のブランド(商標)として認証されることになる。  適正農業規範『GAP導入』 p. 39, p. 133, p. 249 , 2009/1/30)

土壌処理剤:

 土壌処理剤には、土壌に混和する対センチュウ剤や、土壌全面散布する除草剤などがある。除草剤では、作物の播種直後の雑草が発芽する前に、あらかじめ土壌に散布しておき、薬剤が持つ「種子の発芽抑制」効果に期待するものである。  適正農業規範『GAP導入』 p. 39, p. 249 , 2009/1/30)

農薬散布機:

 農薬散布機には、剤形によって、液剤散布機、粒・粉剤散布機に別れ、使用環境によって、産業用ヘリコプター、ハウス用無人防除機、土壌消毒機などがある。また、機能・性能によって、人力噴霧器、動力噴霧機、過般式、自走式、ブームスプレヤー、スピードスプレヤーなどがある。近年はドリフト防止対策が進んでいる。  適正農業規範『GAP導入』 p. 38, p. 89, p. 197, p. 214, p. 249 , 2009/1/30)

EUREPGAP:

 1997 年にヨーロッパの小売業者が欧州小売業団体(Euro-Retailer Produce Working Group)というチームを編成して開発したGAP 基準と認証制度のこと。第一号の認証農場が誕生したのは、2001 年であるが、2007 年末には、世界85 カ国の81, 000 農家及び農家グループが認証を取得した。2007 年9 月にGLOBALGAP に名称を変更している。  適正農業規範『GAP導入』 p. 48, p. 116, p. 249 , 2009/1/30)

GLOBALGAP:

 2007 年9 月にEUREPGAP からGLOBALGAP に名称変更し、GAPの適用範囲を今までの果物・野菜、穀物・イモ類、サラダ用生野菜、切り花、苗木などに、畜産(牛・羊、豚、鶏、酪農、乳製品)、養殖魚、お茶、グリーンコーヒーなどを加えた。また、それに合わせて運営の組織体制も部門ごとの担当性に再編成している。  適正農業規範『GAP導入』 p. 31, p. 48, p. 51, p. 117, p. 126, p. 250 , 2009/1/30)

ChinaGAP:

 中華人民共和国国家認証認可監督管理局(CNCA)が2003 年からGAPの調査・研究を開始して、2005 年にChinaGAP を発表し、2006 年からEUREPGAP(現在のGLOBALGAP)との同等性認証の手続きを始めた。中国政府は、欧米向けと日本向けの輸出農産物に対してChinaGAP認証の取得を推進している。  適正農業規範『GAP導入』 p. 51, p. 250 , 2009/1/30)

緑の革命:

 20 世紀の近代農業は、大規模な灌漑と機械化、バイオテクノロジーによる多収性の米、小麦の品種改良と、農薬や化学肥料の使用などの生産技術により食料の飛躍的な増産を達成してきた。これを「緑の革命」と呼んでいるが、これらの技術は、生産性は向上するものの、土壌の塩類集積や化学物質による土壌汚染、水質汚染、大気汚染などを起こし、豊かな地球環境を悪化させ、農産物の安全性に対する危害要因を増大させる結果になり、新たに、適正農業管理の必要性が唱えられ、その後GAP規準が誕生することとなった。  適正農業規範『GAP導入』 p. 44, p. 60, p. 93, p. 250 , 2009/1/30)

FAO(国連食糧農業機関):

 Food and Agriculture Organization の略で、世界の食糧生産と分配の改善と生活向上を目的とする国際連合の専門機関の一つである。FAO 農業委員会は、2003 年に適正農業規範の枠組み開発(Development of a Framework for Good Agricultural Practices)という文書を発表し、GAP の普及に取り組んでいる。  適正農業規範『GAP導入』 p. 45, p. 78, p. 250 , 2009/1/30)

IFA(農場認証の統合化):

 Integrated Farm Assurance の略で、GLOBALGAP では、認証制度の基準文書のことをIFA と称している。運営認証の一般規則(GR:General Regulation)と、管理点と適合基準(CP・CC:Control Pointand Compliance Criteria)と、各種のガイドラインの3つの基準文書で構成されている。  適正農業規範『GAP導入』 p. 61, p. 251 , 2009/1/30)

生産履歴記帳運動:

 JA は2003 年10 月の全国大会で、生産履歴記帳運動に取組むことを決議した。運動の目標を「安全な農産物作りと記帳を通じて、生産履歴の開示を行い、それにより消費者に安心を届け、食と農の距離を縮め、国産農産物への信頼を回復し、さらに信頼を高めること」としている。2008 年には、記帳運動からGAP へと展開することを目指している。  適正農業規範『GAP導入』 p. 86, p. 251 , 2009/1/30)

農場巡回:

 産地で取り組むGAP では、生産者自身による農場の現状分析および問題点の改善と、団体事務局による農場の確認が必要である。これらは、生産部会の事務局による農場巡回で行う。計画段階の農場巡回は、農場のリスク管理と生産者のトレーニング、後の農場巡回は内部農場検査や残留農薬の検査などを行う。  適正農業規範『GAP導入』 p. 125, p. 251 , 2009/1/30)

コンプライアンス委員会:

 企業理念を達成するために、農協などではコンプライアンス委員会を設けて、コンプライアンス重視の企業風土の醸成、全役職員共通の企業倫理の確立などに取り組むところが多い。GAP 規範は、正に適正農業へのコンプライアンスである。農場管理規則の作成に当たっては、生産部会の事務局はもちろん、構成員である生産者の主体的な組織として、全体の整合性のある規則や規定を作成することが必要である。  適正農業規範『GAP導入』 p. 128, p. 251 , 2009/1/30)