株式会社Citrusの農場経営実践(連載45回)
~経営体の自立とみかん収穫体験インターシップから次へ~
佐々木茂明 一般社団法人日本生産者GAP 協会理事
元和歌山県農業大学校長(農学博士)
株式会社Citrus 代表取締役
会社を設立して11回目の収穫シーズンが間もなく終わろうとしている12月末。前号で収穫アルバイト確保の難しさを報告させて頂きました。収穫作業開始直前に近隣の若者(20代)の応募があり、地元から2名が来てくれました。10月19日、弊社の収穫開始イベントには役員も参加してのスタートとなりました(写真1)。
11月に入り本格的なシーズンには加えて地域おこし協力隊員のご家族とその友人が福岡から駆け付けてくれ、総勢で8名、常時5人から6人が交代で収穫作業を進めている。
今シーズンは11月の高温多雨で、果皮障害が発生して商品化率が悪く収穫作業が急がれている。しかし、ここにきて降雨による作業の遅れも生じるなど苦労の種は消えない。そんな中、収穫体験に来てくれる友人家族や、有田川町の農業体験インターンシップ事業により我が社のみかん園は賑わっている。長野県からは本誌の発行機関「日本生産者GAP協会」小池理事の家族3名が1日収穫応援に、また、有田川町主催のインターシップには関東や関西から7名が参加、1日半の収穫作業を手伝ってくれた。このインターシップ事業により有田川町に移住して農業をはじめよと考えているメンバーもいると、後に役場から聞いた。また、収穫体験のリピーターも現れ、社員らは参加メンバーどなたでも歓迎しますと著者に告げてくれたので受け入れてよかったとホッとした。著者の本音はインターシップ参加者の中から次年度の有田川町地域おこし協力隊に応募してくれることを期待している。ちょうど我が社で研修を受けている先輩の地域おこし協力隊員が令和5年度に農業で自立する予定であり、これに続いてくれればと願っている。
一方Citrus 農場経営において、反省点が多々あり、借地園の老木問題、肥培管理のミス等、今後に向けて課題解決に社員らが奮闘している。次年度の老木園農改植や品州更新のための改植など、また、病害虫管理の失敗から学んだ次年度の病害虫管理計画など社員らは次年度に向けて動き始めている。新規採用時点では数年弊社で農業経験を積んで自立したいといっていた社員も今では、弊社の長期経営改善計画に着手、参加したインターシップメンバーに農業への思いや栽培技術解説を行っていた。また、女子社員である西川主任は10月に結婚、継続して勤務、今後も弊社のリーダー社員として期待している。
著者は3年前に体調を悪くし入院、現在は回復しているものの無理できなくなり、Citrusの運営を社員に任せている。今シーズンのアルバイト管理も100%社員が行っている。経営体としては自立の方向に進んでいる。
2023/1