-日本に相応しいGAP規範の構築とGAP普及のために-

GAP普及ニュース 56号

《巻頭言》
『地球温暖化と農業の行方』

佐々木茂明
一般社団法人日本生産者GAP 協会理事
株式会社Citrus 代表取締役

 2018年1月19日に開催された有田地方4Hクラブのプロジェクト発表会の場で「GAPに関連して『GH農場評価を受けてみませんか』と県の普及指導員から推進されました」と弊社の社員から報告を受けた。4Hクラブ活動で、GAPについて話題に上ったのは、この5年間でこれが始めてだという。社員らは、農業大学校で『GAP規範』について学んできた経緯があり、また、弊社においてもGAPによる農場認証には至っていないが、持続可能な農業の在り方への認識は高いことから、普及指導員の説明は理解できたようである。しかし、4Hクラブ員の大半は「GAPに始めて触れた」と聞いている。

 このような現状のなか、昨年12月28日の日本農業新聞の記事に「GAP認証農産物 穀類と青果10万トン 農水初調査 五輪食材は十分量」とのタイトルがあり、「農水省は、27日、農業生産工程管理(GAP)の認証を取得した農産物の年間生産量について、始めて調査結果を発表した。<中略> 2020年東京五輪・パラリンピックで使う食材を十分供給できることがわかった」と出ていた。これとは別に、昨年の12月8日に農林水産省からGAPに関する認知度調査結果(1回目)も公表されており、調査の趣旨を「農林水産省では、『平成29年度中に都道府県等が実施するGAP研修参加農業者の8割以上がGAPの正しい理解をしていること』を目標に、都道府県内で実施する研修等において認知度に関するアンケート調査を実施しています」と説明している。質問内容とその結果は、農林水産省のweb siteに以下のように公開されている。

  • Q1 GAPを実践すると、経営の改善に効果がありますか。(正解は「はい」で80%)
  • Q2 GAPの実践に当たっては、チェック項目に従って農場内を点検するだけでなく、問題点の発見や改善に継続して取り組むことが重要ですか。(正解は「はい」で90%)
  • Q3 GAP認証をとれば、それだけで農産物のブランド化につながりますか。正解は「いいえ」で59%)
  • Q4 国際水準のGAP認証は、食品安全の取組みだけを行えば、とれますか。
    (正解は「いいえ」で78%)
  • Q5 あなたはGAPに取り組みたいと思いますか。
    (「はい」が40%、「いいえ」が31%、「既に取り組んでいる」が24%)

  全国平均の正解率は41%となっている。17都道府県は、「回答数が充分でない」ということで公表されていない。残念ながら、和歌山県は「回答数が充分でない」ものに含まれているが、一体何を意図して結果を公開しているのかが生産現場では理解しにくい。

  このアンケート調査の対象は、GAPの研修に参加している農家やGAP認証をとった農家であり、無作為に抽出された農家ではないことから、生産現場では、全般に「GAPが認知されている」とは思えない。これらのGAPに関する情報が農林水産省より公表されているが、その意図が読めない。著者は、「GAPが普及され、オリンピックの食材も充分に確保されたことから、農林水産省の仕事は達成されつつある」といっているように、一般消費者に誤解されてしまうのではないかと危惧をしている。

  2017年度GAPシンポジウムにおいて発表された各都道府県のGAPへの取組みは、2020のオリパラに向けてようやく始まったばかりのように思われる。県やJAが指導チームを編成して推進するといった形態である。また、個人の農家がいきなりGAP認証を取得するにはかなりハードルが高い。まずGH農場評価によりオリパラへの食材供給をきっかけに、次のステップにGAP認証取得に発展していくパターンを狙っての体制づくりが進みつつあるように感じた。

  JA福井県五連の取組みをみても、お米のブランド名をキーワードにして、それに関わる生産者のGH農場評価の義務付けは実現の可能性が高いとみられる。茨城県ではGAPの第三者確認制度を立ち上げ、GAP認証取得に要する期間や費用を緩和する役割を持たせているようだ。また、GHによる農場評価を普及させ、オリパラ後のGAP推進につなげるなど、特徴のある推進体制が進みつつある。岐阜県ではGAP認証取得者は3件と少ないことから、指導体制の構築、生産者への支援等の取組みを大幅に拡充していくようである。これらの取組みはいずれも各県独自のアイデアで進められていることから、地方による温度差はかなり見られる。早くGAP指導体制のルールと指導員養成を国レベルで義務化することを望みたい。

  和歌山県は、農林水産省のアンケートに参加しており、昨年よりGH農場評価についての指導者研修に取り組んでいる。今年、4Hクラブ員にも推薦していることは大きな一歩であると、当協会の理事の一人として喜んでいる。弊社は今年の2月に「GH農場評価」を受け、社員らは、指摘された問題の改善に取り組んでいる。しかし、日本は国の『GAP規範』がないので、当協会が作っている『日本GAP規範』や『GH農場評価ガイドブック』などを参考に、樹園地の改善に取り組んでいるが、国策で4Hクラブの活動を指導している機関がGAP推進を行う以上、商業ベースや外国で作られた規範やマニュアルではなく、日本の国が示す本物の『GAP規範』が欲しい。そうすれば、農業現場の指導者が迷わず農家のGAP指導を行えるのではないかと考える。

  今年が、弊社にとって、和歌山県の4Hクラブ員、和歌山県農業者のGAPへの取組み元年になれば幸いであると思っているが、この時期、もうGAPは達成できたかのような情報ではなく、GAPの取組みは常に努力を続けていくべきものであり、現場はこれからであることを充分認識して、関係機関にはしっかり取り組んで欲しいと考えている。

  本来のGAP(適正農業管理)は、国内・域内の持続的農業を目指し、公的に定められた『GAP規範』に基づいてGAPを実践するものであり、欧州では2005年から義務化されている。国はそれに基づいて補助金を出したり、クロスコンプライアンスの補助をしたりしている。

  日本のスーパーは、日本の農産物に対して農場認証を求めていないことや、海外からの輸入品にも輸出国に農場認証を求めていないので、日本の生産者は、海外からGAP認証を求められたときに、改めて対応すればよいということである。

  『GH農場評価』は、『日本GAP規範』に基づいたものであり、GAPを実践するにあたって『GH農場評価ガイドブック』などの参考書もあり、評価に必要な経費も安く、適時に自主管理で行うこともでき、協会のアドバイスも受けられる。本来のGAP(適正農業管理)を進めるためには、『GH農場評価』を是非やって見て頂きたい。「農場改善にはこの方法しかない」との実感である。 今後、GH農場評価の評価結果に基づいた実践報告をして行きたい。

2018/4


《連載第8回》『スペインには、日本でのGAP推進のヒントがいっぱい!』
アルメリアの農業ICT_農産物ERPに学ぶ(1)

田上隆一 一般社団法人日本生産者GAP協会 理事長

GAPとICT

 日本ではGAP(適正農業管理)の普及と合わせて、農業ICT(情報通信技術)を活用した経営改善や生産性の向上が推奨されるためか「ICT導入でGAP農場認証が容易になる」と誤解されることがあるようです。そうではなく、ICTとGAPとの因果関係を言うならば「GAP農場認証でデータ処理量が増えたからICTで合理化・効率化した」ということでしょう。

 筆者はこれまで14年間に亘って多くの農業者のGAPや農場認証取得を支援してきましたが、GAP認証を取得したから個々の農業者のICTが欠かせないという実態は見ていません。GAP農場認証を取得したことで、より強くICTの必要性を感じることになるのは、農業者を組織化して統制し、マーケットに打って出る生産組合やJA営農部などの生産組織の事務局です。

GAP認証は販売者が取得する

 そもそもGAP農場認証は買手側が農産物を生産する販売者に対して要求するものです。取引する単位でGAP農場認証が確認できなければなりませんから、ここでいう販売者とは、「農産物の取引に当たってスーパーマーケットや卸業者などと銀行口座などで代金を決済する法律上の契約者」を指しています。

 GAP認証を取得すべきはJAなどの組織であり、販売者に出荷して委託販売する個々の農業者ではありません。日本では大規模農業で直接販売する農業者を除くと、その多くは生産組合やJA営農部などの生産組織または産地の集荷業者ということになります。ちなみにGLOBALG.A.P.認証では認証オプション2の主体者です。

GAPの信頼を選果場で統合化するICT

 販売者がGAP認証を取得した農場の農産物をマーケットに送り出すためには、組織の構成員である農業者の農業活動を把握し調整し統制しなければなりません。そのためには組織を構成するすべての農業者の農場の作業者、圃場、作物、施設、資材などをはじめ、農業計画から作付け、栽培、収穫、出荷に至るまでの必要な詳細情報を把握することも必要になります。

 それは出荷する個々の「農業者の情報化」と集荷し販売する「JA営農部の情報化」だけで達成されるものではありません。販売者であるJA営農部が生産部会員の農地、農家と農業生産及び農産物販売を統合化するシステムでなければなりません。

販売者が農業者を統合するERPシステム

 ERPとは、Enterprise Resource Planningの略であり、企業におけるヒト・モノ・カネの動きを管理しコンピューターを利用して情報を統合化し経営を支援するためのシステムです。グローバルなマーケットで農業ビジネスを成功させるためには、農産物を商品化して販売する企業が、農産物の生産段階から販売段階までの人材、農地、設備、資材、資金、情報を統合的に管理し、業務の効率化や経営の全体最適を目指すことが必要です。そのためには、JAを例に取れば、営農部門が生産部会全員の農場の作業者、農地、施設、資材および作物の作付・栽培・収穫情報のすべてを把握し、選果場の販売情報と関連付けた商品化や出荷計画およびコスト計算などを実行するコンピューターシステムがERPシステムです。

アルメリアの農業経営を支えるERPシステム

 世界で一番GAP農場認証者が多いスペイン、中でもGGN(GLOBALG.A.P.番号)数が最も多いアルメリア県における農業分野のICT活用について調査しました。アルメリア県の農業ICTは、ベンダーのクラヴェ社とイスパテック社の2社でほとんどのユーザーをカバーしているようです。いずれも農地、農家と農業生産および農産物販売を統合化するERPシステムで、農協などの経営者とその従業員および組織の構成員である農業者と営農指導員をユーザーとして開発された組織横断的で農業として一貫したコンピューターシステムです。敢えて2社の相違点を探せば、クラヴェ社は農業生産法人、イスパテック社は農業協同組合での利用が多いということでした。

 アルメリア農業のICT活用は、これまで日本で活用されてきた農業者の農場管理ソフト、営農指導員の技術指導ソフト、選果場の業務管理ソフト、JAの販売管理ソフトなどを連携した単なる総合システムではありません。農業生産法人や農業協同組合が目指すビジネス目標である「農業者が加盟する当該組織の営農販売計画に基づいて、営農指導員の指示の基に、農産物を生産し、組織に出荷する。当該組織は農業者の農業管理を指導し統括するとともに、農業者の負託に応えて積極的な販売事業を展開する」というミッションを支援する組織横断的で農業ビジネスとして一貫した統合化システムです。

 日本農業ビジネスが今後目指すべき情報システムとして大いに参考になるアルメリアの農業ERPシステムについて次号以降で紹介します。

2018/4


2018年度セミナー・シンポジウム等の予定

 2018年度の各種セミナー・海外調査・シンポジウム等について、下記のスケジュールで実施する予定です。

 グリーンハーベスター農場評価制度(「GH評価制度」)では、GAPの理解と普及のための教育システムとして、農業者、農業指導員等によるGAPの自主管理を推奨しています。

開催期日シンポジウム・セミナー等
2018年
6月15日(金)

『農産物サプライヤーのためのGAP入門セミナー』 ※※新設※※
場 所:日比谷図書文化館(東京都千代田区) 定員:50名
対 象:JAや集荷業者、卸売などの農産物サプライヤーの他、GAPについて詳しく知りたい方はどなたでも参加できます。
参加料:7,000円(税込)、(当協会会員6,000円 税込)

4月26日(木)-27日(金)
7月26日(木)-27日(金)
10月25日(木)-26日(金)

『GAP実践セミナー』
場 所:文部科学省研究交流センター(茨城県つくば市竹園2-20-5)
定 員:25名、参加料:27,000円(税込)、(当協会会員19,440円 税込)

5月24日(木)-25日(金)
8月30日(木)-31日(金)
11月29日(木)-30日(金)

『農場実地トレーニング』
場 所:文部科学省研究交流センター(茨城県つくば市竹園2-20-5)
定 員:25名、参加料:27,000円(税込)、(当協会会員19,440円 税込)

6月13日(水) -14日(木)
9月27日(木) -28日(金)
12月20日(木)-21日(金)

『農業者のためのHACCPセミナー』
場 所:文部科学省研究交流センター(茨城県つくば市竹園2-20-5)
定 員:30名、参加料:32,000円(税込)、(当協会会員23,000円 税込)

2019年(2018年度)
1月 日時は未定

『GH評価員試験』
場 所:文部科学省研究交流センター(茨城県つくば市竹園2-20-5)
定 員:8名、受験料:30,000円(税込)

2019年(2018年度) 2月27日(水)-28日(木)

『GAPシンポジウム』
場所:東京大学農学部弥生講堂一条ホール(東京都文京区弥生1-1-1)
参加料:主催・共催団体会員 10,000円、一般 15,000円、学生 2,000円

2018/4


2017年度 GAPシンポジウムの報告

山田正美
一般社団法人日本生産者GAP協会 常務理事

 今年度のGAPシンポジウムは「オリパラに向けたGAP指導と本来の農場評価体制」というテーマで開催されました。2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックへの食材供給に向けてGAP農場認証の取得が奨励されています。

 しかし、大切なことは今回のオリパラを契機として大会以降の地域振興も見据えたGAP 推進と農場認証についてその推進体制をしっかり作ることではないでしょうか。

 その際、最も重要なことはGAP教育であり、中でもGAP指導者の養成が喫緊の課題となっており、今回のGAPシンポジウムではこれらの点について多方面から実情を報告して頂き、議論を深めました。また、今回初めて畜産のGH農場評価制度について報告して頂きました。

 なお、ここに収録したのはあくまでも概要であり、詳細は2017年度GAPシンポジウムの資料集を見て下さい。

【開催趣旨】

 2012年のロンドンオリンピック&パラリンピックは、大会運営のすべてにおいて世界一持続可能な大会と称されました。そのうち、食材調達基準には英国農民連合のレッドトラクター認証を採用しました。「大会開催の前から農畜産物の約8割程度がレッドトラクター認証を取得していたから、大会組織委員会の目標である持続可能性が達成できた」と言われています。

 2020 年東京オリンピック&パラリンピックでは、ロンドン大会とは反対にGAP 農場認証をとることを目標にしなければならない事態となっています。多くの産地で関係者が努力をして認証を取得するということですが、最終目的は大会後のグローバルな経済社会の要求に応えることができる日本農業の体制整備であることには間違いがありません

 東京オリンピック&パラリンピックを契機にGAP 農場認証を取得して、それをレガシーとして大会以降の農業振興を図るためには、数合わせやその時だけの農場認証ではなく、地域農業振興のビジョンに従った農業者のGAPの実現と農場認証についての体制整備をすることが必要です。GAP の体制作りで最も重要なことは人材教育であり、なかでもGAP 指導者の養成が喫緊の課題になっています。

 今回のGAP シンポジウムでは、東京大会後の地域農業振興を見据えた持続可能な農業推進のための人づくりと、それを前提としたオリンピック&パラリンピック用の食材供給のためのGAP 第三者確認制度への取組みについて議論を深めます。

【開催概要】
日 時:2018 年3 月5 日(月)10:45 ~ 6 日(火) 16:30
会 場:東京大学弥生講堂 一条ホール(東京都文京区弥生1-1-1)
主 催:一般社団法人日本生産者GAP協会
共 催:農業情報学会、一般社団法人GAP 普及推進機構、特定非営利活動法人経済人コー円卓会議日本委員会
後 援:全国農業協同組合連合会

プログラム1日目 3月5日(月)
1日目のテーマ『オリパラに向けたGAP指導と本来の農場評価の体制構築』

【開会講演】『GAPで守るものは何か』

(一社)日本生産者GAP協会・常務理事(東京大学) 二宮正士氏

 開会のあいさつも兼ね、最近の環境や食品安全、GAPについての動向について話があった。現在日本では、オリパラに向けて持続的社会の構築を推進していることもあり、『受動喫煙』『食品HACCP』『GAP』について法整備も含め進められている。しかし、2012年のロンドン大会に比べ充分なレベルとは言えず、演者は危惧を感じている。

 一方、日本の農家は豊かで素晴らしい農産物を生産しているが、環境保全という面に関しては充分な対応ができているとは言い難い。また、日本の消費者は農産物の安全面については敏感であるが、農業の持続可能性に関しては関心が薄いようである。こうした現状を踏まえ、農業をこれからも持続させていくためには本格的なGAPの普及が求められるとの指摘であった。

【基調講演】『GAPとは何か。根本思想から問う』

(一社)日本生産者GAP協会・理事長 田上隆一氏

 東京オリンピック開催まであと2年余となり、GAPという言葉をいろいろなところで耳にしたり目にしたりするようになってきているが、そもそも"GAPとは何か"と聞かれても正確に答えられる人は少ないのではないかとの思いから、GAP先進国の動向や我が国での変遷を分かりやすく解説して貰いました。GAPに関連する言葉の定義、リスク分析との関係、ロンドン五輪の食材調達基準となったレッドトラクター、民間のGAP認証、政府と民間の関係等、多様な角度からGAPについて語って貰った。まだまだ語り足りないという感じであった。

【特別講演】『農林水産省によるGAP推進施策について』

農林水産省生産局農業環境対策課長 及川 仁氏

 農林水産省が取り組んでいるGAP政策について分かりやすく説明して頂いた。昨年示された"GAPをする"と"GAP認証をとる"について説明して頂き、GAPを巡る国内の動き、GAP認知度の調査結果、平成30年度GAP関連予算などについて説明して頂いた。

 講演が少し早めに終わり、残りの時間で会場から質問を受け、詳しく対応され、会場からは環境直接支払の交付要件として国際水準GAPが取り入れられたことや、生産者と流通業界を連携するパートナー会についての質問があった。最後は田上理事長と固い握手をされた。

【特別講演】『日本農業を本気で守るJAグループのGAP推進』

全国農業協同組合連合会 参事 立石 幸一氏

 農産物の販売を扱うJAグループとしての立場から、JAとしてのGAPの推進方策について講演をして頂いた。 農業をめぐる情勢の変化を捉えたうえで、GAPは農産物販売で避けて通れない流れとなっていることを指摘された。GAPに取り組んだ事例として、TAC(農業調整チーム)<とことん会ってコミュニケーション>の活躍で、GLOBALG.A.P.認証取得まで導いたJAグリーン近江の事例を紹介された。

 農家は自分が一番と思っている人が多いが、GAPの視点から見ると問題が多くあるとも指摘されていた。最後に、日本生産者GAP協会が発行した『グリーンハーベスター農場評価ガイドブック』がGAPをする上で大変参考になるという話で締めくくられた。

【講演】『GH評価員の養成とJA生産部会の品質コントロール』

JA茨城県中央会圏域営農支援センター 営農・マーケティング支援室 金澤 泰俊氏

 農業者は、品質の良いものを作りたいという気持ちが強く、GAPなどの農場管理は二の次になりやすい。GAPに関しては、JAの指導がないと、どう改善して良いかわからない場合が多いということもあり、JAでGH評価員研修、評価員試験を通してGAP指導ができる人材育成に取り組んでいるということです。GAP普及におけるJAの役割は"人財"の育成が生命線で、ここ数年が正念場と考え取り組んでいるとのことでした。

【講演】『GH評価員の養成とGH農場評価によるGAP推進』

福井県農林水産部地域農業課エコ農業・食料安全グループ 細川 幸一氏

 福井県ではGH評価制度を積極的に活用し、これまでに営農指導員や普及指導員83名をGH評価員として育成し、現場でも積極的にGH評価を実施して農家のGAPレベル向上を目指しています。実際に農家のGH評価を実施してみると、評価員によるGH評価点のばらつきという問題や改善提案が生産者に伝わりにくいなどの問題点が明らかになり、今後の対応を考えているとのことであった。

【一日目総合討論】『GAP指導者に求められる力量を身につける』

司会:(一社)日本生産者GAP協会理事長 田上隆多氏

 1日目の総合討論では講演者が登壇し、会場から頂いた質問に講演者が答えるなどして理解を深められるよう進められた。主な質疑応答は以下のようなものであった。

  • 総合事業のJAで「営農指導員が関わる横断的な事業体制はどうなっているのか」との質問に対して、立石氏は「JAの組織は、縦割りの意識が強いが、販売事業を中心に据えるべきであると考えられ、GAPは販売事業の中心的なものになるようにしないといけない」との回答であった。また、田上隆一氏は「専門的な知識が強くないと組合員との信頼が築けず、全ての情報を一元化しないとうまくいかない。そのためにはEPR(個別管理されている情報を統合することで経営効率を図るための手法:本普及ニュースの4p参照)という考え方を取り入れていく必要もある」とのことでした。
  • 「GH農場評価をした農家への指摘事項の改善は進んでいるか」との質問に対して、細川氏は「半分くらいの農家は何らかの改善を実施してくれている」とし、金澤氏は「再度評価に行くと、農薬保管庫などで改善がみられる例も多い。また、部会の役員が頑張っているので、目に見えて改善してきていると感じている」と回答された。
  • 「リスク評価がGAPで大切と言われているが、実際に評価しての感想はいかがか」との質問に対して、金澤氏は「GH評価ハンドブックを見ているとなかなか大変だなと思っていた。しかしリスクマップという形で示すと、おのずとリスクが見えてくる。そういう取組みを地道にやっていくことが大切だと思う」としている。細川氏は「福井県もこの点については試行錯誤しながら取り組んでいる。圃場リスクなど目に見えるリスクは分かりやすいので、わかりやすい所から始めたい」とのことであった。
  • 「指導員の育成も必要だが、指導される農家に理解して貰う取組みとしてどのようなことがあるのか」との問いに対して、金澤氏は「指導員が評価員の資格を取り、複数の指導員で実践面での腕を磨くことは当然必要なことである。その上で部会の役員の理解が非常に大切であり、それがないと前に進めることは難しいと感じている。また、地域には海外の研修生がたくさん働いているので、女性の評価員を育成したいとも考えている」と答えられた。細川氏は「農家のGAPに対するレベルが多種多様で、農家啓発はなかなか難しいと感じている」と答えられた。
  • 「全農の立場から地域の取組みに対してどのようにサポートしていくのか」という質問に対して、立石氏は「"人財(・)"を生かすシステムが充分ではなく、スペインのテクニコの例でも見られるように営農指導員のレベルを高いものにしなければならないと考えている。今はGH評価員の資格を取得し、高いレベルの評価ができるようにしたい」とのことであった。田上隆一氏は、これに補足する形で、「スペインのテクニコ(指導員)は2005年から始まった単一支払いクロスコンプライアンスに間に合うよう2000年頃から教育を始めて、何とか間に合った。テクニコは農業が儲からないと辞めてもらわなくてはいけない。GH評価員の試験もやっているが、試験が受かっただけでは評価は難しい。いろいろな事例をどれだけ持っているかと言うことと、相手の立場になって考えるということが大切だと考えている」とコメントされた。

 以上、ポイントになる質疑に関してメモを見ながら書き起こしたものです。

プログラム2日目 3月6日(火)
2日目のテーマ『本来の農場評価に向けた第三者確認制度の構築と運営』

【講演】『オリンピック後の持続可能な農業と農場管理の評価』

(一社)日本生産者GAP協会 理事長(AGIC) 田上隆一氏

 GAP(EU内で持続可能な農業を実現するために推進されたもの)とGAP農場認証(スーパーの農産物取引要件としての農場認証)の違いを、イギリス国内で普及しているレッドトラクター認証を紹介していただきながら分かりやすく説明された。2020東京オリパラを契機として、大会以降の農業振興を考えると、地域農業振興のビジョンに従ったGAPの実現のためには、GAP指導者の養成が喫緊の課題となっていることおよびGH農場評価の活用について説明された。

【講演】『GAP指導の力量を身につける"GH農場評価制度と評価員試験"』

(一社)日本生産者GAP協会 事務局長(AGIC) 田上隆多氏

 農場のGAPレベルを客観的に評価するGH評価制度の内容やGH評価員の資格取得研修について、実例を挙げ、具体的に説明していただいた。GH評価員試験を受験する場合の試験内容や日程、課題についても併せて説明があった。

【講演】『GH評価制度で確認する養豚業の管理』

岐阜県農政部農業経営課地域支援係 中島敏明氏

 畜産の知識がほとんどない我々聴衆にも分かるようにGAPにおける畜産の位置づけや養豚業・豚の特徴についての分かりやすい話があり、次いで薬剤使用の法律による規制、堆肥の製造、死体処理などの具体的な例を挙げ、それらの課題について説明された。

【講演】『GH評価制度で確認する牛の繁殖・肥育管理』

とれさ農園 代表 成光昭男

 成光氏は、宮崎県を中心に個人で牛の繁殖・肥育管理に関して活動している元県職員で、最初に肉牛経営の大規模化に伴う課題や市場価格の推移などについて話された。その後、豊富な現場での指導から、減点が多い項目として、リスク管理、農場管理システム、飼養衛生管理、医薬品・医療器具の管理、廃棄物の管理、労働安全があげられるとのことであった。また、改善しようとすると畜産は多額の費用が

【報告】『GH評価制度を活用した茨城県GAP第三者確認制度について』

茨城県農林水産部産地振興課エコ農業推進室 佐々木史生

 茨城県が2020東京オリパラに向けて実施している第三者確認制度について、分かりやすく説明していただいた。その話の中では、GH評価制度を活用し「GAPの指導」および県制度における「調査」を行うこととしており、オリパラ以降のGAP推進への活用も期待しているとのことであった。

【報告】『岐阜県におけるGAP推進について』

岐阜県農政部農産園芸課クリーン農業係技師 平松拓実氏

 岐阜県が平成7年から推進している"ぎふクリーン農業"やGAP取り組みの拡大・定着の施策について分かりやすく説明された。その中で、GH評価員の資格を取得した普及指導員100名をGAP指導員として養成し、GH評価員制度の活用によるGAP指導を進めるとしています。

【報告】『普及指導員と営農指導員のGH評価制度教育と資格試験対策』

JA福井県五連組合員トータルサポートセンター農業支援課 木下良弘氏

 福井県では、県で開発した新しいお米の品種"いちほまれ"を一つの手段としてGAPの推進を図るという方向で動いている。その中で、GH評価員試験に合格した営農指導員と普及指導員をGAPの指導員とし、"いちほまれ"を栽培する農家はGH農場評価を受けることを要件としているとのことであった。

【報告】『JAのGH評価員によるGAPコンサルティングの内容』

JA行方(なめがた)営農経済部TAC主任 坂本敏幸氏

 坂本氏はGH農場評価員試験に合格し、TACを担当している。現在はJA行方の生産部会を中心に、茨城県GAP第三者確認制度の申請に向け、県と協力し部会員の指導に当たっている。月1回の部会員との勉強会では、意識向上や具体的な対策を示していくとともに、各自ばらばらの農場管理様式を部会で統一するなどの活動をしていることが報告された。

【報告】『GH評価員による産地のGAP取組み支援』

茨城県鹿行(ろっこう)農林事務所振興・環境室農業振興課係長 田中知恵氏

 農林事務所の中にGAP推進を図るGAPチームを作り、GAP推進体制の強化、GAPの理解促進、東京オリパラ対応のGAP(県確認GAP)取得を積極的に推進している。事例としてJAなめがたのちんげん菜部会連絡会やJAしおさいの波崎青販部会での取組みが報告された。

【総合討論】『オリンピック後の本来の農場評価のために』

司会:山田正美、パネリスト:

 2日目の総合討論では、8名の講演者が登壇し、会場から頂いた質問に講演者が答え、司会者の山田氏が関連質問をするなどしてGH評価の実践の理解を深めた。 特に、畜産分野でのGH評価の実践と課題では、「日本では死んだ家畜を食べてはいけないということがちゃんと守られている」が、その処理などについては国の法律が追い付いていない実情が説明された。また、各県でのGH評価の普及に係る工夫などに、掘り下げた議論が行われ、大変有意義であった。

右から、司会者の山田氏、パネリストの田上隆多氏、中島敏明氏、成光昭男氏
佐々木史生氏、平松拓実氏、木下良弘氏、坂本敏幸氏、田中知恵氏の9名

2018/4


キーワードからGAPの意味を考える

田上隆一 一般社団法人日本生産者GAP協会 理事長

GAPの思想と手法とその評価

 GAP(Good Agricultural Practice)とは、"近代農業がもたらした環境破壊や資源枯渇、健康被害などのマイナスの経済効果を是正する農業管理のことで、リスク管理の手法で行う持続可能な農業の実践"です。

 このGAPについて、日本には様々な定義や呼び方があります。農林水産省は「農業生産工程管理」と意訳し、"農業において、食品安全、環境保全、労働安全等の持続可能性を確保するための生産工程管理の取組み"と定義しています。そしてGAP推進のために「農業生産工程管理の共通基盤に関するガイドライン」を策定して、食品安全、環境保全及び労働安全に関する工程管理の内容を示す「工程管理手法の提示」を行っています。

 また、GLOBALG.A.P.やJGAP、県GAPなど「様々なGAPがある」と言われることがあります。しかし、これらは農場管理者や農業者がGAPである(不適切な農業実践ではない)ことを確認するための「規準(チェックリスト)およびその農場認証制度(ファーム・アシュアランス:農場保証)」です。つまり、農場管理者や農業者がGAP(適正農業管理)かどうかを計る尺度(モノサシ)であって、GAPそのものではないのです。また、GAPを計る尺度は、その規準の持ち主(規準の策定者)によって農業に求める内容が異なりますから、規準そのものがまちまちであり、似たような規準であってもその評価結果がまちまちであることもあります。

GAP規範は農業者のための道しるべ

 最初にGAPを紹介した人は「適正農業規範」と和訳しました。この訳の元となった英語は、「Code of Good Agricultural Practice」です。直訳すれば"適切な農業行為の規範"ということになります。これを英国の農業関係者は"CoGAP"と表現して、「GAP規範」と「GAP」とを区別しています。GAP規範は、食品・環境保護法(英国1985)が制定された後に、農民・栽培者・農地管理者のための実践の手引きとして刊行されました。

 1998年には、改定版「Green Code」「The Water Code」「The Soil Code」の3分冊が刊行され、2009年1月に再改訂統合版として1冊の本になりました。英国政府は、"GAP規範は農業者が易しく簡単に法令を解釈でき、農業と環境への汚染を避ける効果的な措置をとるのに役立つもの"であるとし、クロスコンプライアンスに関係するものを含め、法律上の義務を果たすために役立つものであると説明しています。そのために、「水、土壌、大気」の質を維持・向上させるための「行動の要点について記述」し、「農業関係者が選択できる」ようにしています。

 英国では、半乾燥の気候の下で、牧畜・畑作を中心とした農業が行なわれていますが、日本では、温帯モンスーンの下で、稲作を中心とした土地利用型農業と施設園芸を中心に行っていますので、そのまま英国の「適正農業規範(CoGAP)」を日本農業に適応することはできません。そこで一般社団法人日本生産者GAP協会では、2011年に、日本における"良い農業への道しるべ"として「日本GAP規範(2011)Ver.1.0」を発刊し、2014年にはVer.1.1を刊行しました。

 GAPの定義は、"人と自然・資源を保護し、経済と農業が持続できるようにしながら、環境汚染や食中毒などを引き起こす危険性を最小限に抑える行為"です。

GAPは規範から逸脱しないためのクオリティ・コントロール

 最近になって農林水産省は"GAPは実施(する)もの、GAP認証は取得する(とる)もの"と説明しています。これまでのGAP(適正農業管理)とGAP認証(農場保証)を同一視するという誤解が解ける、わかり易い表現になりました。しかしGAPを「する」にしても「とる」にしても日本のGAP規範が纏められていない状態では、農場管理者や農業者が自分自身の農場のGAPを容易に把握することはできません。

 農場管理者や農業者は、GAP規範を「知る(聞いたことがある)」から、「内容を理解する(意味や内容を説明できる)」へと進み、「内容を把握する(実践できる)」状態にならなければなりません。

 GAP規範の実践とは、あるべき姿としての規範が明らかで、それと比較することで自分自身の農場の問題を発見し、課題を改善し、規範から逸脱しないような農場管理の制御(クオリティ・コントロール)を行うということです。

 したがって、GAPの実践のためには、まずはGAP規範が提示されなければなりません。規範がなければ、いろいろなGAPといわれる制度のいずれかの規準(チェックリスト)に頼らざるを得なくなります。その結果、GAPを「する」にしても「とる」にしても「どのGAPにしますか?」ということで本末転倒になってしまいます。

BAP(バップ)が無ければGAP(ギャップ)である

 そもそもGAP概念が作られた理由は、必要以上の肥料の投入や化学農薬の使用により自然環境の循環機能が阻害されているという"現代農業技術の影"の部分にあります。影を作り出した不適切な農業行為をBAP(Bad Agricultural Practice)とすれば、BAPを無くすことがGAPであり、具体的には、農業由来の環境汚染を削減して農業環境を良い状態に回復させ、持続的農業を実現させることです。

 もちろん、農業の成果である農産物が「食品として安全である」ことは当然のことです。食品流通のグローバル化で、ますます複雑で課題も大きくなっている食品リスクへの対応も併せて、"人と自然に優しい農業"を実現することで、持続可能な社会への貢献を果たすことがGAPの目的なのです。

 GAPを「する」「とる」の前提として、水・土壌・大気及び食品を汚染するかもしれない物質を、農場内で取り扱ったり、散布したり、保管したりする全ての農場管理者や農業者は「自らの責任を認識し(気づきが必要)」、「自らの農場の汚染の可能性とその原因および結果について理解(リスク評価で確認)」していなければならなりません。その上で、農場管理規則や実施手順の策定および実践教育などの自己管理プログラムを作成し、規範や手順から逸脱しないクオリティ・コントロールを日常的に行うことがGAPです。

GAPは農場評価から始める

 農業及び農場管理は複雑な体系です。農場のGAP度を計る尺度としてのGAP規準(チェックリスト)をもってしても、その農場のGAPを達成することはできません。GAP規準の要求事項は、すべて合わせても農場管理の部分にすぎないからです。

 チェック項目としての部分部分をバラバラに理解していても、農場管理の全体系を理解できるものではないのです。したがって「GAP規準(チェックリスト)でGAPの導入」という表現は本末転倒です。

 そもそも、管理項目や実施項目といわれるGAP規準の要求事項は、GAP規範のようにその内容を農場に順守させるべきものではありません。農場の経営体は一つとして同じものはありませんから、経営上の問題や課題もそれぞれの農場によって異なっています。

 GAPであるためには、各農場が個別に抱える問題点を見つけ出さなくてはなりません。GAPとは農場管理にBAPがない状態のことですから、"自らの農場のどこが問題なのか、なぜ問題なのか、どの程度問題なのか"を明らかにする「農場のリスク評価」からスタートするのです。

 農場のリスク評価は、作物の生産場所や農産物取扱い施設、資材倉庫や設備・生産資材などに環境保全、食品安全、労働安全、(必要であれば)動物福祉の観点から問題点を見つけ出すことです。その他、農場で使用する水、収穫・調製作業の衛生管理、作業者の安全と健康管理、意図的な食品汚染なども含めて、農場に存在するあらゆるリスクを認識すること、また、それらのリスクをどのように減少させるかを考えることが重要です。

2018/4


GAPに関する質問と回答

田上隆多 株式会社AGIC GAP普及部長

 最近のGAPに関する質問は、産地で実際にGAP指導に取り組んでいる方からの高度な質問が増えています。今回はGAPの概念に関する質問と、直売所の指導者からの質問への回答です。

Q GAPに関する言葉の確認について教えて下さい。

 最近、①GAPをする、②GAP(認証)を取る、を区別して捉えるべきだと言われるようになりましたが、②の「取る」のは認証ですから判るのですが、①の「する」は、農家が農業管理の他にGAPという新たな仕事をしなければならないような印象を受けます。わかり易く教えて下さい。

A 生産者は「GAPにする」と考えるとわかり易い。

 「G.A.P」のPは「Practice」で、「行う、実行する、実践する、慣行、ならわし, 習慣、慣習、風習」などの意味ですから、「GAPをする」という言い方は「頭痛が痛い」のような表現となり、おかしな言い方なのですが、GAP概念をわかり易くするためには仕方がないと思います。

 ただし、現実の農場管理において「GAPをする」というと、「既存の活動」の他に「GAP」という新たな業務を導入するように感じられてしまいます。農家などの農業経営体は元々存在しており、「農業行為:A.P.」はすでに実施されています。その「農業行為:A.P.」が「良好:Goodでなければならない」というのがGAPの意味合いで、その「良好:Good」の要件を規定したのが「適正農業規範:Code of Good Agricultural Practices」です。

 日本の農林水産省は、この「適正農業規範:CoGAP」を発行していません。代わりに「ガイドライン」というものを発行していますが、これは民間の国際的な農産物取引要件となっている「GLOBALG.A.P.」のIFA(総合農場認証)の審査のためのチェックリストなどを参照にして作成しています。そのため日本では、チェックリストを農場管理に導入することがGAPであるかのような認識で10年以上経過してしまいました。つまり「GAPは認証ありき」なのです。したがって結局「GAPは取るもの」と思われてしまいがちです。

 農林水産省では2017年から「GAPをする」と「GAP(認証)をとる」の概念について、「する」と「とる」を意識的に分けて表現しています。ところが、「GAPをとる」という認証については区分けしたものの、「GAPをする」の概念自体に「チェックリストの導入」がずっと含まれているために、農業者にとっては、「これまでの農業」の他に「チェックリストを使ったGAPという新たな農業方式を導入しなければならない」という思いから解放されていないというように感じます。

 GAPのGはGoodの意味であり、それはNot Bad(悪くない)という意味です。農業者はGoodに心掛けているのでしょうが、完璧ではありません。実際の農業行為においては、「良いこと」も「良くない(悪いこと)」も混在していることでしょう。この際、法令や科学的根拠と、併せて「倫理」に照らして、「農業における悪いことを無くしていきましょう」というのがGAPの原理です。

 EUにおける1990年代のGAP推進キャンペーンでは、「農業分野の悪い習慣をやめよう」というスローガンが掲げられていました。

 農業分野の悪い習慣をやめるために為すべきことは、自分の農場の「どこが悪いのか」「どのように悪いのか」を明らかにし(問題の調査・分析)、「どうすればいいのか」を考えて実施すること(改善)が必要です。「農業実践」において「悪いこと:BAP」がなくなれば、それは「良い農業:GAP」です。つまり「改善の結果、GAPになる」ということです。

 農業に余り関係のない世間一般から見れば、「農家はGAPをする」でもかまいません。しかし、GAPの推進者や実践者は、「GAPである」ことの本質をしっかり心得て、GAPではなかったこれまでの農業のやり方を「GAPにする」という意識で取り組むことが大切です。客観的な見方では「GAPをする」でもいいですが、主体的には「GAPにする」が良いと思います。

 そもそも、認証の取得者が「GAPをしている」と自慢するのも恥ずかしい話です。認証に必要な単なる「手続き」をGAPと言っているようなところがあって、本末転倒ではないでしょうか?

 本来のGAPは、技術的に「○○GAPの手順を踏んでいる」ということではありません。「あなたの農場管理はとてもGAPである」と称賛される(実際には認証取得)とすれば、それは農業の仕事そのもので「持続可能な社会への貢献している」ことや、「消費者の信頼に応える農産物の供給事業をしている」ことであり、「ステークホルダーに応える社会的責任を果たしている」こと、などが社会的に認められることです。その意味で、GAPの推進では、「持続可能な日本農業の発展を目指す本来の農業を推進していくこと」が求められているのです。

Q 農家さんへの指導方法を教えて下さい。

 農産物直売所を運営しています。GAP認証農家の野菜を取り扱っていますが、まだまだ不足していますので、GAP認証に向けて準備をしている生産者の支援もしています。また、小規模農家さんや、生きがいに産直市場に納入している農家さんも多いのですが、そうした農家さんの指導方法も教えていただけると有難いです。その他、GAPに関する情報が頂ければ有難いです。

A 関係者の皆様が今「守りたいもの」は明らかになっていますか?

 あなたの守りたいものは、農産物でしょうか、農業でしょうか、農家でしょうか、直売所でしょうか、お客様でしょうか、それとも自然環境でしょうか。

 GAPは、Good Agricultural Practices の略で、ここでいう「Good」は、他より優れているとか、最も良いということではなく、「Not Bad」つまり、「悪くない」ということです。

 直売所のビジネスがお客様の信頼感で満ちているのは、「農産物の品質が悪くないから」「店舗運営がしっかりしているから」「多くの生産者達の統制が取れているから」などによる消費者の「安心感」ではないかと思います。「直売所が会社として管理が行き届いている」「生産者の組織の統制が取れている」「コーポレートガバナンスがよろしい」などが農産物直売所としての信頼を作っているのだと思います。

 EU(欧州連合)各国では、GAPの業務のことを「QC:Quality Control」と言っています。QCは品質管理のことで、農産物直売所で販売される農産物を作る生産者に対する管理の質が問われるということです。

 農産物直売所では、茨城県つくば市にある「みずほの村市場」では、出荷する全ての生産者に対して統一した「農場管理システム」で全体の統制・標準化を行っています。「GAP規準による農家の認証」ではなく、直売所に参加する各生産者の「自己管理プログラム」が統一されているということです。それを元に直売所で指導をしているということです。

 もともとGAP規準による農家の認証というのは、生産から小売りまでの農産物サプライチェーンにおける信頼関係を保証するためのものですが、直売所のサプライヤーは、生産者と店舗だけという直販取引ですから、農場の自己管理プログラムが統一的に管理されていることがベストです。これによって直売所と生産者の信頼関係が保証されるということです。そして、全てのQCを標準化しているのは「GH農場評価制度」です。

 このような「QC」を支援することも私ども日本生産者GAP協会の仕事です。それぞれの地域で高いレベルのGAP教育ができるように、GAP指導者を養成するための一貫したGAP教育「GAP指導者養成講座」を都道府県の農業普及指導員やJA営農指導員を対象に実施しています。講座修了後は実際の農場で指導するためのGH農場評価実践トレーニングを、最後に受講者が一定の指導力を身に着けたかどうかを確認する「GH農場評価員資格試験」も行っています。

 また、直売所とその生産者を全体として支援をするため、農産物直売所に直接伺って企業目標や運営実態を確認させて頂き、QCの体制作りも支援しています。一般に「GAP先進企業を視察する」ということがされているようですが、組織のQCは他者から見えるものではありません。それより、自社の足元を確認することから始めるのが重要です。

2018/4

GAP関連用語の解説
【リスク・マネジメントとリスク・コントロール】

 

 GAPの実践において、リスク・マネジメントとリスク・コントロールの区別が必ずしも明確に認識されていない場合が見受けられる。リスク・マネジメントもリスク・コントロールも、日本語では「リスク管理」と訳されることが多いので、言葉の上の区別が難しくなっている。

 「日本GAP規範」の用語解説でも「リスク管理」の英文をリスク・マネジメントとし、リスク・コントロールの解説が無い。「リスク管理」はGAPだけの問題ではないので、HACCPの義務化を控えていることもあり、この両者の違いを正確に知っておく必要がある。

 「リスク」(危険性)とは、ある行動の「結果」を確実に予測できない状態、あるいはその行動に伴って「不測の結果」が発生する可能性のある状態をいう。リスクには、ハザード「危害要因」があり、その起こりうる結果とその確率が判っている状態から、確率が客観的に判らない状態、そしてどのような結果が生じるのかさえ全く判らない状態まで、様々なレベルがある。個人にせよ組織(企業や政府組織など)にせよ、ある行動を実行するに際して事前にリスクの状態を評価し、最善の対策を講ずるとともに、事後的に好ましくない結果が生じた際に適切な処置をとる一連の計画・統制の過程をリスク・マネジメントといっている。

 リスク・コントロールは、損失の発生を具体的に防止し、また万一発生した損失の拡大を防ぐことであり、リスクを直接軽減することができるのはリスク・コントロールである。その内容には、リスクの回避措置、発生頻度の抑制、リスクによる損失の抑制、リスクの分散、リスクの移転などがある。リスクには、直接的損失と間接的損失、潜在的損失がある。直接的損失は、すぐに顕在化し認識できる損失を言い、適切な回避措置が採られる。間接的損失は、直接的損失に付随して起こる損失である。潜在的損失には、まだ発生していないものから、発生した時点では把握・認識できないものなど様々なレベルのものがあり、将来的に顕在化するリスクである。

 GAPでは、先ず自らの農場のリスク評価(リスク・アセスメント)を行い、法令違反等の顕在化したリスクがあれば、リスク回避のための対策(リスク・コントロール)を直ちに講じ、潜在的なリスクについても把握し、それらの必要な回避措置を講じておくことが重要である。

2018/4


株式会社Citrus 株式会社Citrusの農場経営実践(連載29回)
~GH農場評価を受けました~

佐々木茂明 一般社団法人日本生産者GAP 協会理事
元和歌山県農業大学校長(農学博士)
株式会社Citrus 代表取締役

 2018年2月1日にGH農場評価(グリーンハーベスター農場評価制度)を受けた。長年の懸案事項だった弊社のGAP(適正農業管理)への第一歩が始まった。理事としてGAPの仕組みは解っていたつもりでおり、社員らと共に持続性の高い農業を目指してきたが、やはり第3者の目で農場を評価して貰うと随所に抜けている課題が浮き彫りにされた。

 GH農場評価(以下GH評価)に駆け付けてくれたのは当協会の田上事務局長で、田上事務局長は前日まで和歌山県主催のGAP研修会のために和歌山入りしていたので、有田までご足労を願った。その背景には、昨年の秋より県担当者から「株式会社CitrusがGH評価を受けるとの情報を聞いた、是非この機会にGAP担当の県職員やJA営農指導員の研修に協力して欲しい」との要望があり、軽く了解はしていたものの、昨秋は収穫のための労力確保に手こずり、GH評価を受けるチャンスを逃したため、今回の運びとなった。時期的にはタイムリーであり、県からの依頼は、株式会社Citrusの専門家の評価結果と県内のGAP担当者の評価力とを比較してみたいとのことであった。今回は、専門家の評価と県内のGAP担当者が同時期の環境条件でのGH評価となったので、弊社も無理なく両者の評価を受けることが出来た。

 GH評価に用いたのは、「日本GAP規範」に基づく農場評価制度の評価規準に基づくチェックシートで、農業分類:全農場共通、作物共通、水田畑作、園芸Ver 2.0_20170428 適用:日本GAP規範 Ver.1.1 GLOBALG.A.P. IFA CPCC Ver.5.0 農業生産工程管理(GAP)の共通基盤に関するガイドラインであり、一般社団法人日本生産者GAP協会が定めた制度である。

 弊社の管理運営体制は、正社員2名、準社員1名、農繁期アルバイト5名である。主に2名の正社員で作業計画と作業記録を行う仕組みとしている。従って、正社員2名が田上事務局長の審査を受けた。経営者である著者は、参画した程度である。審査当日は、近畿農政局和歌山支局から2名の職員がGH評価の一部始終を見守る形で参画した。

 GH評価制度の詳細説明は省略するが、改善しなければいけない課題を順に示してみる。

 園地毎の隣接ドリフトのリスク、作業現場の危険箇所などのリスクについての情報は、社員で共有しているが明文化されていない。これについては社員間では解っているので必要性を感じていなかったが、指摘されて、アルバイトやカンボジアからの技能実習生などへ周知するためには必要と感じた。病院などの連絡先が一覧出来る手順が文書化されていなかった。これについては、弊社に実習に来ていた研修生が熱中症になって大慌てをした経緯があり、そのときに申し合わせたのが、「問題があれば素人判断せず、すぐ救急車を呼ぶ」としていたが、これもマニュアル化していなかった。また、カンボジアからの技能実習生に対する日本語研修の記録がないなどの指摘があった。これらは無理なく対応出来る課題と判断した。重要なことで認識不足だったのは「クレーム対応手順を整備していなかった」ことである。

 よく発生するクレーム対応は、常に作業者で共有するように口頭説明していたが、課題毎に記録に残していなかった。弊社の場合は、直接顧客対応をしていないので、「フードディフェンスの認識は甘かった」と反省した。これに準じて、圃場毎の出荷記録が整備していなかったことも課題となった。弊社は、圃場別の出荷ではなく、隣接圃場の同一品種別(出荷時期別)に出荷を行っているため、圃場毎に出荷荷口をまとめるのは運搬体制上(トラック単位で行うため)手間どるので、出来ていなかった。薬剤散布用の水源については、飲料用水事業で設置した施設を使っているので、水道水の基準で大丈夫とのことであったが、谷の水を灌水と農薬散布に使っている貯水槽と個人用の井戸水は検査をしていなかったので、これが指摘された。肥料は全てオーダーで配合しているが、詳細な成分分析が出来ていない。このため、過剰な施用があるかの確認が取れていなかった。園地毎の土壌のpHの調査も出来ていなかった。住宅の近くでの薬剤散布については、散布後の立入り制限への対策をとっていない等気づかなかった点が指摘された。大きな課題としての指導は2点あった。一点は、農薬散布後の器具やタンクの洗浄が充分でないと評価されたことである。現状では、ワンローテンション毎(月一回)毎に洗浄するが、散布日毎には行っていなかった。また、大型の農薬調合槽(6000リッター)はダイセン類などの収穫前散布30日から60日と定められた薬剤は、散布したシーズン最後に洗浄していたが、基本は毎回の洗浄が必要であり、判ってはいたが、大型タンクを洗浄した時の廃液処理が困難であることから、つい怠ってしまっていた。もう一点は、農機具の取扱いで、モノレールは乗車禁止となっているが、乗車をしてしまう問題である。その他、農薬散布時のゴーグル着用なし、衛生手順書なし、農薬中毒等の手順書もなし、などが指摘された。これらの課題はすぐにクリヤー出来ると考えるが、畑毎へのトイレの設置は無理なので、今まで通りコンビニや公共の地区の公園トイレを活用していた。その際の石けんと水道水は作業用トラックに常設するなどで対応することにした。まだまだ出来ていない課題はあったが、ちょっと気をつければ対応できると考えている。

GH農場評価を受けている様子(左は田上隆多事務局長)

 GH農場評価を受けて良かったことは、判っていても実行出来ていない課題の指摘を受けると反省と同時に改善意欲が高められることが出来ること。著者である経営者は、経験値で判断してしまいがちだが、若い社員たちは、指導を受ければスムースに改善策を考え出してくれる。

 このGH評価を受けた5日後に、和歌山県主催のGH評価演習が弊社Citrusを教材に実施された。11名の評価員(県GAP担当者とJA営農指導員)と県事務局2名が来社し、役割分担して、同様の項目について審査の演習を行った。対応した社員も要領が判っていたので、スムースに審査が進み、対象課題の70%程度を3時間ほどで審査ができたように思う。研修生らはそれぞれの評価結果を持ち寄り、別会場で田上事務局長のGH評価結果と研修生らの評価を照らし合わせる研修を行ったとのことである。研修主査者からは、評価点に多少の誤差はあったが、注目した指摘項目に差はなかったと伺っている。「一人ではGH評価する自信はないが、複数で現場対応すれば、なんとかクリヤー出来るようだ」と研修生たちが伝えてきた。

 GH評価は、評価の経費が安いのと、指導員・評価員を育成して、自主管理を勧めているが、GH評価を希望する農家を誘導するのは簡単ではないとも話していた。

 弊社としては農業生産法人の社員と経営者の関係で運営している、これ以外に労務管理の各区の手続き、会社運営のための就業規則などを策定してきたので、GH評価の指摘事項の必要性を認識できるが、もし個人経営で家族労力の範囲なら取決めがなくても阿吽の呼吸で日頃こなしてきているので、全てにマニュアル化するには抵抗があるのでは、と考えてしまう。個人経営なら所属する出荷団体や研究会メンバーでGH評価を受ける方が受け入れやすいように考えられる。

 最後に、その総合評価点はと聞かれると恥ずかしいが、500点台であり、50%の出来ではあったが、社員らは「努力すればクリヤーできる課題が山積していた」と、逆に改善に自信を持ってくれたようで、日々問題点の解決に向けて努力してくれている。経営者としては、設備投資など装備を充実させ、また、社員の安全と健康に経費を費やしていきたと考えている。

 余談として、GH評価を受ける直前に、年金機構から社会保険の加入状況について説明せよと呼び出された。問われたのは、賃金の支払い状況などであり、賃金台帳の詳細を点検された。出勤簿の確認で労働時間を確認され、また、アルバイトの雇用期間などを確認された。この説明は法に定められているので応じているが、GAPも食料生産を担う農業に対して、食の安全確保の意味から、ある程度義務化してもいいのではと考えるようになった。

 調査終了後の雑談で、弊社の調査にあたった職員から、日頃農家への審査はないので、食の安全が気になることから、農家の取組みに興味を持っているとの話がでた。そこでGAPについての話をすると、GAPの生産現場の安全対応のもつ意味を理解してくれたようであった。

2018/4


編集後記

食讃人

 最近、いろいろな講演会で「SDGs」(エスディージーズ)を目にする機会が多くなってきた。「SDGs」とは、2015年に国連において全会一致で採択された「持続可能な開発目標」であり、その英語のSustainable Development Goalsの略称である。2030年までに達成を目指す17分野の目標が、図のようなロゴで示されており、それぞれに更に詳細なターゲットが示されている。

 ちなみに、17の分野とは、『貧困を無くそう』『飢餓をゼロに』『全ての人に健康と福祉を』『質の高い教育をみんなに』『ジェンダー平等を実現しよう』『安全な水とトイレを』『エネルギーをみんなにクリーンに』『働きがいも、経済成長も』『産業と技術革新の基礎をつくろう』『人や国の不平等をなくそう』『住み続けられるまちづくりを』『作る責任、使う責任』『気候変動に具体的な対策を』『海の豊かさを守ろう』『陸の豊かさも守ろう』『平和と公正を全ての人に』『パートナーシップで目標を達成しよう』というものであり、持続的農業や森林の保護を直接謳ったものはない。

 これらの分野の中で、農業に最も大きく係っているものとしては、「飢餓ゼロ」に持続可能な農業の推進が謳われている。特に途上国においては、農業と貧困とが直接結びついており、農業の持続性を確保するにも、貧困を解消していく意味がある。貧困人口の最も多い中国での最大の課題も、農業・農村・農民の「三農問題」である。アフリカも農業に大きな問題を抱えている。その他の分野にも農業に係る課題は多く、「陸の豊かさを守り」「安全な水の供給を担保し」「気候変動の対策に大きく係りを持ち」「農産物を作る責任、使う責任を自覚し」「住み続けられる地方都市を守り」「産業の基盤を守り育て」「働き甲斐のある仕事にしていく」と読めば、それぞれが農業に係る重要な課題になる。

 そして、その中には「食品廃棄を半減させる」や「育児や介護、家事という家庭内の無報酬労働を評価し、責任を分担する」など、日常生活でも取り組めるものが多くあり、それらも農業に係っている。先進国の「食品ロスの削減」と同時に、途上国の農産物の「収穫後ロスの削減」にも取り組んでいく必要がある。

 外務省では、ホームページで国連の持続可能な開発目標(SDGs)について国内での取組みを紹介するページを設け、左のようなロゴマークを掲げている。オールジャパンとしてのSDGsの達成に向けた取組みを国内外にアピールすべく、SDGs貢献にコミットする日本国内の企業・団体等のSDGs関連ページのリンク先を掲載し、表彰事業を設け、これを拡充していくとしている。ちなみに、第一回の昨年度の表彰事業では、12の団体が外務省から表彰されている。

 当協会も、まさに農業に係るSDGsである「持続的農業」を目指した本来のGAPの普及活動を長年行っているので、この点をもっとアピールしていきたいと考えている。

2018/4