「スペインには、日本でのGAP推進のヒントがいっぱい!」

15年間見続けてきたスペイン・アルメリア(EU最大の夏野菜生産基地)のGAP戦略

組合員のGLOBALG.A.P.認証取得率は100%
 スペインは、多くの農産物を欧州各国に輸出してきており、そのため、GLOBALGAP認証を取得している農家が世界一多い国です。中でもアンダルシア州のアルメリア県には、約35,000haの温室(ビニルハウス)があり、トマト、キュウリ、ナス、ズッキーニ、ピーマン、スイカ、メロンなどが農協(アグロコープ)を中心に大量に栽培されており、全ての組合員(100%)がGLOBALG.A.P.認証を取得しています。(正確には、農協がGAP認証オプション2を取得し、組合員農家を指導管理(クオリティコントロール)しているということです)
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農業者に対する教育
 農家の平均的な耕作面積はハウス栽培1.5ha程度。農協の組合員である農業者は、テクニコ(農業技術員)から栽培などの技術指導を受けるとともに農場運営の管理指導を受け、段階的にGAP管理レベルを向上させています。

行政の支援と農協選果場の認証
 多くの農産物は買手側の要求水準の高いEU域内に輸出されているため、持続可能性や食品安全に対する科学的検証が重要になっており、そのために市役所の農業部門が、植物体の検査や土壌の検査及び残留農薬検査を安価でサービスをしています。
 農協やその他の出荷組織では、BRCやIFSという食品安全管理の認証およびApplusというトレーサビリティの認証を取得しています。

IPMからオーガニックへ
 2010年には、高知県の普及指導員や農業試験場の職員らと、主にIPMの調査を行いました。アルメリアでは天敵昆虫を使った生物学的害虫管理で先進的な取組みをしており、2004年に訪問した際には沢山あった化学合成農薬が、農業者の農薬保管庫にはほとんどなかったことが大変印象的でした。
 その結果、現在はオーガニック農産物の生産量が増えてイギリスやドイツ、フランス、スイスなどに高値で販売されています。
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農業者はGLOBALG.A.P.の他にも農場認証を取得している
 「GLOBALGAPは農業者のリミット(最低限やるべきこと)」なので、国際的な競争では、その上の認証を求める需要が増えています。そのため、比較的遅れていると言われている農協も含めて、全ての生産組織が、GLOBALG.A.P.の他に、Natures Choice(ネイチャーズ・チョイス、イギリス最大のチェーンストアである「テスコ」のストア認証)、LEAF Marque(イギリスのオーガニック認証)、Biosuisse(スイスのオーガニック認証で北欧への輸出に必要)などに取り組んでいます。
また、グローバル・マーケットに積極的に販売するためには、更に、GRASP(GLOBALG.A.P.による農業生産企業の社会的責任の規準)、BSCI(サプライチェーンの公正な労働条件の認証)などへの取組みも多くなっています。

広がるオーガニックマーケット
 2008年まで小さな農協で100%のオーガニックに挑戦していたフランシスコ・ベルモンテさんは、兄弟4家族で、180haの温室を耕作し、農作業者約400人、選果場作業者約200人の大農場「Bio Sabor,ビオサボール(オーガニック・テイストの意)」の経営を始めました。選果場はドーム型でとても清潔です。認証はオーガニック認証で、ドイツ、ノルウェー、スイス、フィンランド、その他の国に直接輸出しています。
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アルメリアの選果場では日本の「改善」を実行
 農協は、いわゆる単協(組織レベル1)が、組合間協同で連合体(組織レベル2)を構成しています。農協連合体で、マーケティング、販売促進、販売業務を統一して農産物ビジネスを展開しています。また、それぞれの単協で所有していた選果場を、専門化・合理化し、連合体全体のコストの削減を図っています。
 これらの選果場のGAPの目標は「改善」です。選果場のあちらこちらに漢字で『改善』と記されています。
 ここから私たちが学ぶものは、GAPの手法や管理の手順ではなく、産業として農業を実践する農業者と事務局の「GAP方針」や「GAP姿勢」なのかもしれません。
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GAP推進と農業ICTについて
 日本では、農業者のGAP普及で阻害要因になっている農場管理計画や記録事務の負担を軽減するためにICT活用を推進するという考え方がありますが、アルメリア農業でのICT導入は、日本とは普及の因果関係が反対です。農協を中心に標準化された組織的農業戦略(農産物の生産と販売)をさらに推進するための「ICTの導入」なのです。つまり、GAPが定着したからICTを導入するということです。
 アルメリアの農業では、農場管理の現場(農業経営体)を束ねる農協(組織経営体)は、名実ともに農業者を組織(農協)の一員(経営資源)と考えて管理します。その組織管理はERP(Enterprise Resources Planning:農業経営の資源要素「ヒト・モノ・カネ・情報」を適切に分配し有効活用する情報戦略)で、農協の基幹系情報システムを利用しています。マーケット情報から、販売先情報、選果場のリアル情報、農場の生産情報を一元管理することが目的です。
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2月27日にマヌエル氏から直接聞こう
 日本生産者GAP協会では、毎年のように「世界のGAP先進地スペイン研修ツアー」を開催していますが、本シンポジュウムでは、アルメリア農業の中心地であるエレヒド市議会農業代議委員長で、元農業技術員(テクニコ)のマヌエル・ゴメス氏をお呼びし、いよいよ国際水準のGAP農業にならんとする日本の農業関係者に本物のGAPについて直接ご教授いただこうとお呼びしました。
 日本農業を守り、日本の農業振興を考えて、本格的なGAP普及推進をお考えの多くの皆様に、GAPシンポジュウムにご参加いただきますようお願いいたします。